出力段バイアスの安定化
HPA-12基板の隠しパターンの1つです。
今までも何度か試してはいたのですが、効果がいまひとつだったので公開してきませんでした。
出力段のバイアス電圧を作っている直列ダイオード4個の部分にコンデンサを入れることで、電圧の安定化、及び、プッシュプルの上下でのインピーダンスの差をなくす効果があります。
コンデンサは、0.1~10uF程度のフィルムコンデンサ。 もしくは10u~100uF程度の電解コンデンサが良いです。
今まで実験したときには、フィルムコンデンサだと効果があるのか無いのか、私の耳では認識が難しいくらいの変化しかありませんでした。 一般電解コンデンサだと、落ち着きのある音になるものの、何だかネクラな雰囲気でパっとしない。 そんな感じでした。
ところが、純A級ヘッドホンアンプにしたあと、余っていた東信工業のオーディオ用の銀色のヤツ(UTSJ)の100uF/16vで試したところ、なかなか良い結果が得られました。
変化は大きくないのですが、中音域のガヤつきのような雑味が減って見通しの良さが増すような感じです。 音質がネクラに転じることもないようです。
実は、このバイアス部のコンデンサは、音質の変化があってチューニングするときによく弄るポイントなのです。 以前、どっぷりと落ち着いた雰囲気にするために、わざと汎用電解コンデンサを入れて音を作ったことがあります。
なぜかHPA-12基板では変化が少ないですが、いろいろ試されてはいかがでしょうか。
TIPS-11として付け加える予定です。
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こんにちは
この記事を読んで考えたのですが
終段アイドリングの熱変調のような現象が音質の変化に効いているのでしょうか?
たかじんさんのこのアンプは一般的なB級アンプと比較して
バイアス源との熱時定数が非常に大きいためゆっくりとしか終段の温度変化に追従しないという特徴がありますよね。
バイアス源にコンデンサをパラって効きが弱いのはそのためではないかという仮説です。どう思われますか?
投稿: hen | 2013年5月16日 (木) 22時35分
henさん こんにちは
最終段のアイドリングが熱によってふらつくと音に影響があるというのは、昔から言われていることですね。
それを解消すべく開発されたのが、サンケンの温度補償内蔵TRなのです。 いちど使ってみたいですね。
秋月で安く売っていることですし。
HPA-12のバイアス生成は、かなりいい加減で最終段の負荷変動による温度上昇には殆ど追従しない
のは確かです。
そのことがコンデンサをパラっても効きが少ないということと直接関係があるのかは、何ともいえません。
それよりも、通常のTRをつかったバイアス回路では、TRのベース電流の変化がバイアス電圧へと
影響するので、コンデンサをパラったらその変動が落ち着くのではないかと推測しています。
TRのベース電流の変化は、温度的なことよりも信号の振幅によるものが多く、直接的に音へと影響しそうです。
逆にいうと、ダイオード直列方式のバイアス生成は、コンデンサを付けなくても安定している。といえるのかも
しれません。 サンケンの温度補償内蔵TRも内部はSBDでバイアスを生成しているようです。
投稿: たかじん | 2013年5月17日 (金) 08時57分
>それよりも、通常のTRをつかったバイアス回路では、TRのベース電流の変化がバイアス電圧へと
影響するので、コンデンサをパラったらその変動が落ち着くのではないかと推測しています。
>逆にいうと、ダイオード直列方式のバイアス生成は、コンデンサを付けなくても安定している。といえるのかもしれません。
むむむ…
Vbeマルチプライヤのほうがバイアス回路の電流の変化に1/hfeだけ影響を受けにくいのかと思っていましたが
Vbeは小さいベース電流に依存するぶん変化しやすいのですね。目からうろこでした。
秋月のMN15NMP15Pは私もステレオぶん購入しました。
まだ使っていないのですが、うわさ通りエミッタ抵抗が内蔵されていませんでした。ご注意を。
投稿: hen | 2013年5月17日 (金) 23時25分
TR式バイアス生成回路が、どの程度安定しているのか、実際のところは分りませんが、コンデンサを
パラったときの音質の変化が大きいのは確かです。
ちゃんと終段と熱結合できるのでパワーアンプにはTR式が向いていると思います。
また、音質調整箇所が明確なのはメリットと言えなくもないです。
!? あの5本足TR、エミッタ抵抗が入っていないんですか???
びっくりです。 とても有用な情報ありがとうございます。
投稿: たかじん | 2013年5月18日 (土) 08時04分