理想ダイオードと整流回路
主に整流に使用するダイオードですが、理想的な動作とはどんなものでしょうか。
答えは簡単で、ダイオードにかかる電圧が順方向になるとON。抵抗値ゼロ。 逆方向ではOFF。
実際にはシリコンのPN接合ダイオードの場合、順方向電圧Vfが0.5~0.6Vになると、ようやく電流が流れ始めるという動作をします。
ショットキーバリアダイオードだと、Vfはもう少し低く0.3Vくらいから電流が流れ始めます。 ゲルマニュウムダイオードのVfも0.3V程度と低いですが、とても熱に弱く使い方が難しいらしいです。
さてさて、このPN接合ダイオードを使って音楽信号を整流するとどうなるのでしょうか。
これも答えは簡単なのですが、ピーク電圧500mV以下の信号は通らず、それ以上の信号のみが整流されることになります。
音楽信号を整流するのは、VUメータやピークレベルメータなどの信号レベル検出に使用するためです。
ここで登場するのがオペアンプです。 NFBループ内にダイオードを入れてフィードバックし理想的なダイオード動作・整流動作をさせます。
基本的なオペアンプ式整流回路は、このようになります。
回路方式は両波整流と片波整流がありますが、レベルメータでは片波整流で十分です。
本当に正確なピークレベルが必要な録音現場などでは、デジタル式となるでしょう。
上の回路構成で、ほぼ、理想ダイオード特性に近い整流動作をします。
オペアンプは反転動作となっていまして、+INと-INの端子間には仮想短絡(イマジナリショート)が成り立ちます。 つまり-IN端子はGNDと同じ。 入力側へは整流波形(歪んだ信号波形)は殆ど伝わりません。
殆どと言ったのは、回路図をみて分かるとおり、整流回路の出力側からフィードバック抵抗を通じて繋がっているので、完全にゼロにはならないからです。 これが音質劣化の要素となります。
昔の高級パワーアンプに使用されていた大型の針式レベルメータの回路も、基本的には同じような回路を搭載していますが、この整流回路の前段に、信号源側へ整流波形が伝わらないように1段ほどアンプが挿入されていたりします。
そのアンプは単なるアンプではなくLOGアンプという、レベルを圧縮するような回路を使用して、40dBや60dBほどの広範囲のレベルを表示するようにしていました。
いやー 格好いいですね。 憧れます。
小さい音量で鳴らしていても、ちゃんと針が動くように設計されているのです。 良く見てみると、300W から 0.0001Wまで表示があります。
そこそこ高能率スピーカの場合、メータの針が平均的に1Wを示すくらいで鳴らすとかなりの音量だった事を思い出します。 自分で所有していた訳ではなく、お店で聴いただけですが・・・
多分、家で聴くような場合、左から1cmくらいしか針が動かないんだろうなぁ と思います。
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