トランジスタの熱設計
今回は、2SC3421/2SA1358を最終段に使ってみました。
このTRで、あまりいい思いをした事はないのですが、安価に入手できるTRで、各種特性を見てみると、このあたりがいいのかな っと思いまして、使ってみることにしました。
一応、データシートを色々比較して、ftが120MHzと高く、Cobが20pF/30pF(Vcb10V)と小さいのが決め手です。
許容損失(許容コレクタ損失Pc)のグラフを見ると、ヒートシンクなしの線が見にくいのでエクセルで拡大した図を描いてみました。 こんな感じです。
このグラフは、周囲温度が何℃の時に、許容できる損失はいくらか というグラフです。
例えば、周囲温度が25℃では、1.5WまでOK。 周囲温度が100℃では0.6Wまで という風に読みます。
このグラフから、周囲温度とTRの温度がいくつと決めてあげると、許容損失をどれくらいにしなければならないのかが分かります。
では早速みてみましょう。 周囲温度(ケース内温度)が35℃。 TRの温度を75℃とします。
75-35= 40度 の温度上昇があることになります。
この40度を、上のグラフへ当てはめます。
えーーっと、このグラフは150度で損失がゼロになっていますから、150 - 40=110℃の部分を見るのです。
そうすると、0.5W弱 おそらく0.48Wくらいでしょうか。 これが許される損失です。
これ以上の損失があると、TRの温度は75℃を超えてしまうことを意味します。
※)このTRの温度とは、TRの表面の温度ではなく、内部の半導体部分の温度です。
若干の余裕をみて許容損失は0.4Wで計算を進めてみましょう。
今度は、電流に換算します。
電源電圧は8Vで計算してみます。
I = W/V = 0.4W/8V = 50mA となります。
コレクタ電流(アイドリング電流)は50mAとすると、TRの温度は75℃以下となる。
逆にいうと、50mAまではヒートシンクなしで行けるということです。
ところで、TRの損失の名称がなぜ、コレクタ損失というのかご存知でしょうか。
コレクタ電流≒エミッタ電流ですので、エミッタ損失と呼んでもいいのでは。 っと。
しかもベース電流も含めたらエミッタの方がコレクタよりも電流が多いし。
なんて思ったりもしますが、エネルギー損失は電流x電圧でして、例えばNPNトランジスタの場合
コレクタ:N
ベース :P
エミッタ:N
となっていて、電圧Vceが10Vのとき、ベースからエミッタへの電圧Vbeは約0.6V残りの電圧、Vcbは約9.4Vです。 つまり、電圧の殆どはコレクタ側の空乏層で受け止めているのです。
ということで、損失の殆どはコレクタ側で発生しているのです。
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