アンバランス TO バランス変換回路 いろいろ
入力がアンバランスで、出力をバランスにしたいとき、いくつかのパターンがあります。
アンバランスというとちょっと表現が悪く、信号が良くないイメージが湧いてしまうかもしれませんがそんなことはありません。
通常の信号のことです。 バランス信号と区別するために、こういう呼び方をしています。
さてさて、回路の方ですが、説明しやすくするためにオペアンプの形で図を書かせて頂きますが、実際の回路はディスクリートでもオペアンプICでも構いません。 一部、オペアンプだけでは組めない回路も登場します。
この2つの回路は、どちらも2つのオペアンプを使っていますが、動作は異なります。
まず左側の回路から説明しましょう。
上の段のアンプは、非反転アンプとして動作しています。
下の段のアンプの入力は、上の段の出力から伝達された信号で、反転アンプとなっています。
回路が非常にシンプルで部品点数も少ないため、良く使われます。 見た目にもきれいですね。
ただし、+出力はアンプ1段の出力ですが、-出力は上下2つのアンプを通った信号の出力となります。 細かくいうと、+と-で位相がずれる(遅延がある)。
右側の回路は、上の段のアンプは非反転アンプで、下の段は反転アンプとなっていて、ともに1段のアンプで出力されています。 それぞれのアンプの動作が異なりますが、位相のズレは少ないです。
2つの回路どちらも、上段は非反転アンプで、下段は反転アンプです。
反転、非反転動作の違いについては、こちらを参考にしてください。
つぎは、こんな感じでインバートアンプ(反転アンプ)を追加したタイプです。
この回路もよく使われます。 2ch分のアンプがある場合、そこに、オペアンプで前段に反転回路を1つ付け足すだけでバランスアンプを構成できるからです。 ステレオ(2ch)のパワーアンプを、BTLモードに切り替えるような場合には、もってこいの方式です。
インバートアンプ分の位相ずれはあるものの、出力段のアンプがまったく同一動作となります。 高出力アンプの場合でも安定度を取りやすいです。
最後に、タスキがけのバランス入力回路。 オペアンプで書くとちょっとあり得ない出力構成にみえますが、反転入力の差動アンプで、+と-それぞれで出力するタイプです。 NFBをタスキがけするように組んでいます。 サンスイのXバランスアンプがこの構成です。 ぺるけさんのバランス型ヘッドホンアンプも同様ですね。
+と-で位相ずれが少なく、出力段の構成も同一にすることができます。
しかしながら、入力インピーダンスを高くしようとすると、ノイズ面で不利になるという側面もあります。 低インピーダンス入力(入力部の抵抗値を下げる)とすると、S/Nも高域特性も犠牲にしないで済むため、前段に1段アンプを追加して、この方式でバランス化することが多いようです。 サンスイはそういう構成にしていたようです。
■まとめ
位相ずれがなく、出力の構成も+と-が同一。 ノイズや入力インピーダンスも問題ない
という理想的なバランス変換は、なかなか難しいものです。
変換するのではなく、D/Aコンバータからバランス構成をとるというのが最も理想的であるというのは疑いの余地がありません。
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入力もバランスなら、制作時にテストするための信号源もバランス出力またはフローティング出力(マイナスがアース、シャーシと絶縁)
したものが必要でしょうか?そのようなものは自作できれば越したことはないですね。
投稿: アンプ野郎 | 2016年11月 9日 (水) 00時00分
アンプ野郎さん
バランスではない信号源の場合、1kΩ程度の抵抗を2本直列にして、両端を信号源につなぎ、中点をGNDにすると良いと思います。(擬似的なフローティング)
1chづつテストした方が良いかもしれません。 少なくともステレオ信号をこの中点GNDで繋ぐことはできません。
投稿: たかじん | 2016年11月11日 (金) 22時23分
古い記事へのコメント、失礼します。
オーディオDIYの参考にさせていただいています。
さて、上図の左側の回路は「バランス入力の、COLD側を接地したもの」と考えて
3本同じ抵抗を使用していましたが、2現象オシロを購入して出力を測定したところ、
非反転側の出力と反転側の出力電圧振幅が異なっていました。
よくよく考えてみると、非反転と反転のゲインの計算式から、抵抗値を上からR1,R2,R3
としたときにR3=R1+R2 にしないと非反転側と反転側の電圧振幅が同じにならないの
ですね。
相手側が差動入力であれば振幅の違いは問題ないのかもしれませんが、SN比の
悪化を防ぐことと、設計の狙い通りにすることは大事と思いますので、事例をコメント
させていただきました。
投稿: 大熊 | 2022年4月11日 (月) 00時16分