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2013年3月 6日 (水)

トランスの突入電流

トランスの突入電流(インラッシュカレント)について調べてみました。

Rコアトランスや、トロイダルトランスはなぜ、突入電流が大きいのでしょうか。
どういう時に大きな突入電流が発生するのでしょうか。
 

大きなトロイダルトランスを使用するとき、突入電流でヒューズが飛んだり、電源スイッチが派手にスパークして接点を傷めたりと厄介ものです。

それを防ぐためにソフトスタート回路を入れたりと面倒なことになってしまいます。

 

すべてはこの特性からくるものだったようです。

Hys2

Rコアやトロイダルトランスは、磁気を通すコア材が巻き線の内側にしかなく、コアの容量(重量)が小さいのが特徴です。 カットコアトランスも同様です。

 

コア材は、薄く伸ばした珪素鋼板、方向性があるオリエンタルコアなどですが、おおよそ1.5~1.8T(テスラ)で磁気飽和します。 フェライトコアなどは、もっと低く1~1.5T程度のようです。

 

普段、電源が入っているときには、上のヒステリシスカーブの外側をぐるぐる回るような軌跡を通るのですが、電源投入時には、センターからスタートして磁気飽和してしまいます。

また、電源を切ったタイミングにより残留する磁気が大きくなることがあり、そこからのスタートで運悪く同じ方向に磁気を加えるように電圧が印加されればゼロスタートよりも更に飽和します。

コア材が磁気飽和すると、1次側電流がものすごく増えます。 

例えが微妙ですが自転車のペダルを漕いでいて、磁気飽和していないときは後輪へと動力が伝わっていますが、磁気飽和すると、チェーンが外れたようにペダルが空転してしまうようなイメージでしょうか。 1次側に大電流が流れ、しかも2次側に伝わらないという状況になります。

 

EIトランスなどは、トロイダルやRコアに比べて効率がよくないため、同じ容量のトランスであればコア材が沢山使われます。  その結果、突入時に磁気飽和しにくく突入電流はさほど大きくありません。 効率の悪さが逆に救われているのかもしれません。
(※ ここでの効率とは重量に対して電力容量VAの比率のことです) 

また音楽信号のように瞬間的に大電流が流れるようなパワーアンプに使用したとき、磁気飽和しやすく、1次側電流が加速度的に増えてしまう現象が発生します。 

また磁気飽和に近づくと磁束漏れが一気に放出されるようです。

ですので、Rコアやトロイダルを使用するときには、容量に余裕のあるトランスを選択しておかないと、音質的に問題が起こる可能性があります。こちらでも、トロイダルに関してはいろいろ指摘されています。

ちなみに、特注でトランスを作ってもらうときには、磁束密度を低めに設定してもらうことが可能です。オーディオアンプ用として使うときは、磁束密度を低くする方が磁気飽和が起きにくく、音質が良いとされています。 突入電流を低くしたいときにも有効です。

 

電源を切った瞬間には、コア材に磁力が沢山残っています。 その磁力の方向と同じ方向に向かう位相で電源がONになると、より一層大きな突入電流が発生することになります。

電源の投入タイミングは商用50Hz交流のどのタイミングになるかコントロールできませんので電源のON/OFFを繰り返すことで、巨大な突入電流で問題が起きないか検証する必要があります。

コア材に残る残留磁束は1日ほど経つと、ほぼ抜けるらしいです。

寒い時期には、銅線の抵抗もさがり、より一層の電流増加が発生しますのでヒューズ選びは意外と厄介なものです。  EIトランスなら定格の2倍程度のヒューズが程よい場合が多いかと思います。

 

   電源トランスの1次側には必ずヒューズを入れて下さい。 
 

音質うんぬんより、安全の方が優先されなければなりません。

ヒューズを入れることで、万一の時に火災などを防ぐことができます。音楽を聴くのに家財や命をかける必要はありません。ココは重要なことです。

その他にも安全に関する項目がいくつかありますので、近いうちにまとめます。

 

 

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コメント

自分の古い製作物はEIコアばかりだったので、大容量平滑回路による、整流回路への突入電流くらいしか悩みはありませんでしたが、Rコアだと1次側も考慮しないとならないですね。

スパークキラーなるCR部品がありますが、これをトランス1次側コイルの両端に付ける考え方がありますが、いかがでしょう。 定常動作中は1次側インピーダンスが低いと思うので、CR側に多く持っていかれることはないでしょうが、電源オン時の過渡的な状態がわかりません。 部品メーカーは、このRによってラッシュカレントが抑制されるような言い方でしたが、実際はいかがなものでしょう。

天 麩羅夫さん

スパークキラーの容量からすると、Rコアトランスの突入電流を抑制するとは思えないです。

おそらくは、スイッチON時した瞬間ののパルス的な電流を吸収するという意味ではないでしょうか。

トランスの突入電流はとても大きく、50Hz/60Hzの交流の1サイクル目~3サイクル目あたりまで、定格電流の2倍から3倍は流れます。

100VAトランスであれば100V1Aが定格電流になりますが、トロイダルだと、1Aのヒューズは即切れです。 2Aでも数回電源On/Offすれば切れる可能性が高いです。
ヒューズは定格の2倍で1秒間は耐える。くらいの仕様ですので、それよりも大きな電流が流れていることになりますね。

それだけの電流をスパークキラーが抑制できるとはちょっと考えにくいですよね。

スパークキラー、本来は名前の通りスイッチ内のスパーク抑制で、ラッシュに効くとしたメーカーのサイトは一つくらいでした。 気休め程度か。 やはりスイッチ保護ですねぇ。

トロイダルのラッシュカレントは10msでピーク100Aのトランスでピーク1300Aが出てる絵がありました。(東京精電) 20ms後にピーク300Aと次第に減少しますが、ファストブローヒューズでは持ちこたえられないということでした。 勤めてたメーカーの製品では1次側はスローブローでした。 100回オンオフして確認しろなんてメーカーサイトもありました。

天 麩羅夫さん

1300Aとはキテますね。
スローブロータイプは有効と思います。ある程度以上大きなトランスを入れることが多いパワーアンプではスロースタート回路を入れるのが定番かもしれません。

意図的に遅延回路をいれなくても、トランスの2次側を整流してリレーを駆動し、1次側に挿入したセメント抵抗をバイパスするようにするだけで、50Hz/60Hzの3~5サイクルくらいは抵抗を噛ますことになります。

100回ON/OFFというのは、理に適ったテスト方法です。 ついでに、トランスが冷えているときにやると最高です。
1秒間ON、10秒間OFFを繰り返したり、1秒間に一度のペースでON/OFFしたりと意地悪なことを100回テストすれば、まあまあイイ感じだと思います。

整流回路と平滑コンデンサの間にセメント抵抗とそのバイパス回路を入れるつもりです。 昔に作ったアンプではこの低抵抗の意味がわからず省略したため、ブリッジダイオードや定電圧回路のドライブ段を何度も吹っ飛ばして首ひねってました(笑)

100回オンオフの意図の一つにラッシュカレント最大になるタイミングが、何度かは得られるだろうというものがあるそうです。
簡単に残留磁束密度を低下させる大ワザでもありゃあいいんですが。

天 麩羅夫さん

> 整流回路と平滑コンデンサの間にセメント抵抗とそのバイパス回路を入れるつもり

その方法で整流回路の突入は軽減されますね。

トランスの突入は、2次側になにもぶら下がっていない状態でも流れますので大きなトロイダルの場合は注意が必要です。

EIコアであれば無くても大丈夫だと思います。スローブローのヒューズくらいで。

おっしゃる通り、電源のOFF時タイミングにより残留する磁気が大きくなることがあります。 そして、時間をあまり空けずにONしたとき、ちょうど逆からスタートすると、より磁気飽和が激しくおきます。

時間を空けると、残留した磁気は徐々に抜けていきますから、1秒間に一度くらいのペースでON/OFF繰り返し=意地悪テストになるのですよね。(しかも温まるまえに繰り返される)
トランスが冷えた状態では、巻き線の抵抗が小さくなるために、突入が大きく出ます。

> ブリッジダイオードや定電圧回路のドライブ段を何度も吹っ飛ばして首ひねってました(笑)

こちらはダイオードの選定でも逃げられそうですね。 EIコアのアンプの場合はスロースタートを入れることはまず無いのですが、整流ダイオードが飛ぶことは通常はありませんし、私もとばしたことないですよ。

SiC-SBDはせん頭サージ電流がすくないので要注意らしいですが。。。

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