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« 秘蔵のアンプ回路設計マニュアル | トップページ | HPA-12の動作について(2) »

2013年3月24日 (日)

HPA-12の動作について(1)

どこかの教科書に出てきそうなくらい基本的な差動アンプの構成をとっていますので、トランジスタでアンプ回路を作ってみたいという勉強には丁度良いと思います。

そして、完成したそのアンプの音を愉しむのもアリでしょう。
特別な部品など使用しなくても、電解コンデンサだけ秋月や千石で安価に売っているオーディオ用のものを使えば、そこそこの音が楽しめるのもこのヘッドホンアンプの特徴です。

 

また、色々なバリエーションがあり、独自にチューニングする事が可能なのはフルディスクリート回路のメリットだと思います。 オペアンプICを使ったアンプでは、買ってきて交換するだけですから、楽しむことは出来てもあまり勉強にはなりません。

まずは、HPA-12基板の全体構成をみてみましょう。

 

Hpa12_0
 

ブロック図としては、このようになっています。 

 

Hpa12_3

 

実際の基板を見ても、ご覧のように区切ってレイアウトされていて把握しやすいと思います。

基板は銅箔厚が35umの両面基板ですから、いわゆる銅箔厚70um基板と呼ばれるものです。
 

アンプ部:
2ch分を全く同一の回路・パターンで実装しています。
この部分だけをみるとツインモノラルと同等です。電源部からの引き回しもほぼ同等になるように配慮しています。

 

電源部:
非常に単純な回路構成ながら、センタータップ式に見られるGND電流の乱れなどが発生しない±独立整流式にしています。 電源リップルフィルタは抵抗とコンデンサだけという単純な構成で実装しています。

 

プロテクタ部:
電源ONミュートタイマー機能、電源OFFの即時カット機能、左右アンプ独立した
DC検出回路と、3つの機能を持たせたプロテクタ回路です。 
DC検出には47kΩと少し高めの抵抗を使って音質への影響が出にくい回路としています。
また1箇所の抵抗値を変えるだけで幾つかのリレーへ対応可能です。
LED表示もこのプロテクタと連動していて、リレーONの時にLEDが点灯します。

以上の4ブロックを1枚の基板へ高密度で実装しています。

 

 

  GNDラインの引き回しや繋ぎ方は、回路図に表しきれない部分ですが、ちょっとした違いでハムノイズと音の力強さ、躍動感などに違いがでる部分ですので十分に考慮した基板パターンとしています。 このあたりがノウハウと言えばノウハウかもしれません。
余った面をベタGNDで埋め尽くすのは、デジタル回路や高周波回路では有効に働きますが。。。

 
 

前おきが長くなってしまいましたが、いよいよアンプ回路の動作の説明です。

HPA-12の基本回路の定数で説明いたします。

以前にも紹介していますが、アンプ部のブロックはこのようになっています。

 

Amp1015

このように4つパートから成り立っています。

まず、初段の差動回路部の回路を見てみましょう。

 Hpa12_1

 

青い矢印が主な電流です。 緑色の矢印も電流ですが、ベース電流なので青いものに比べて1/100以下という小さい値ですから、今は無視して考えます。

 

+電源の電圧が8.2Vで抵抗が1.5kΩですから、

①の電流は(8.2-4.9V)/1.5k= 2.2mA
②の電流は(8.2-4.2V)/1.5k= 2.67mA

 

次に定電流回路の電流③は、①と②を足した2.2+2.67=4.87mA となります。 ここは、キルヒホッフの法則の通りで考えると良いでしょう。 正確にはQ2、Q3、Q7のベース電流も加える必要がありますが、それぞれ、hfe分の1だけ足すだけです。hfeが200や300で計算すると、ぼほ無視できる値であることは解るかと思います。

 

この定電流回路は、電流値を決定する抵抗がVR(半固定抵抗)となっているので、少々わかりにくいかもしれませんが、このようにして差動回路のコレクタ電圧と電源電圧が判明すると電流が分かります。

 

 
ちなみにVRの抵抗値がいくつになっているのかを計算してみましょう。

 

Q6のVbe=0.6Vで計算すると、0.6V ÷ 4.87mA = 123.2Ω と求まります。
VRに沢山の電流を流すと寿命が短くなってしまいますから並列にR12を付けています。

 

計算すると0.6V÷330Ω=1.8mAが R12に流れていて、残りの約3mAがVRへと流れています。

 

 

 

長くなってきましたので続きは、また明日。 

 

 

※)TRがリニア動作しているときのVbeは0.6V~0.7Vで計算すると大体いい数値になります。  これは覚えておいて損はないと思います。 

 

 

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コメント

たかじんさん、こんばんは

本を読むだけでは、どうにも理解できませんので
一度作ってみてというのは、初心者にはとても勉強になります。
まだまだ回路についてはほとんどわかりませんが、
部品を買うことだけは一人でできるようになりました(笑)

お久しぶりです ハクションさん

確かに・・・  私も本を読んで勉強とかしましたが、作例があっても、実際に作りながら勉強とまでは
いきませんでした。 何といいますが、作っても特に活用の場がないアンプだったりするし、
パワーアンプの作例などは、部品を集めるだけで大変な労力になってしまいますから。
 
あとは、電源が別に必要だったり、保護回路がなかったりと実用上で安心して使えるものではなかった
りもしますね。
 
ハクションさんはご存知の通り、ここのフルディスクリートアンプは、少し違った立場から派生しました。
 
完全に私の趣味で、音楽を愉しむためのアンプを設計するところからスタートしていて、ついでに勉強も
出来たらいいなっ
という感じですから、出来上がったアンプは実用品ですし、私自身も愛用し・・・更に進化中です。

プリント基板化なんて事も、当初の予定にはありませんでした(笑

今は、多分、
作って楽しい。  使って楽しい。  ついでに回路も理解できたら・・・  という感じです。

チューニングするには、少しだけ回路について知っている必要があるかもしれないので、
自身が楽しむための勉強となるのではないでしょうか。  
完全に理解していなくても、ここのブログを読み続けていると、知らず知らず、回路について詳しく
なっていると思いますよ。  

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