電流帰還アンプ
みなさんお待ちかね(?)の電流帰還です。 カレント・フィードバックともいいます。

ここ10年くらいの比較的新しい高級アンプの定番となっているようですので気になっている人は多いのではないでしょうか。
電流で帰還すると何が良いのでしょう。
そもそも、帰還に電流と電圧の明確な違いがあるのでしょうか。
まずは、その辺りから掘り下げていければと思います。
そもそも、帰還に電流と電圧の明確な違いがあるのでしょうか。
まずは、その辺りから掘り下げていければと思います。
信号をフィードバックして、入力信号との差分を減らす(歪低減、帯域改善など)というのが帰還の主な目的です。 その分アンプの増幅度が減ります。
オペアンプなどではその差分を抽出するのに反転比較器の反転側にフィードバック信号をいれるので負帰還(NFB)と呼ばれています。
アンプの帰還には帰還抵抗といって、殆どの場合、抵抗を使って出力信号を減衰させて入力側へと信号をもっていくのですが、ご存知の通りオームの法則では、電圧と電流は切り離すことができません。 つまり、電流だけを帰還するとか電圧だけを帰還するということはできません。
では、一体 何が違うのか?
ひとことで言うと、帰還信号を受ける側のインピーダンスが違うのです。
ひとことで言うと、帰還信号を受ける側のインピーダンスが違うのです。
高インピーダンスで信号を受けると、電圧が主体で電流はごく僅かしか流れません。これが電圧帰還。 低インピーダンスで信号を受けると、電圧も僅かに振れますが電流が主体で信号が流れます。 それが電流帰還。
簡単にいいますと電流帰還は、フィードバックするポイントが低インピーダンスである。ということです。
真空管のシングルアンプで、初段のカソードへとフィードバックを返す方法。 あれがまさに電流帰還アンプなのです。 アンプの入力はグリッドなので、高インピーダンス。 ですが、帰還を戻すポイントはカソードで、そこは低インピーダンスです。
真空管シングルアンプの回路の例

どこかで見た電流帰還アンプの姿になりましたね。 つまり、電流帰還は特別に新しいものではないという事です。 ところどころに入っているコンデンサはDCをカットするためのものと考えてください。
さてさて、電流帰還アンプは、電圧帰還アンプに比べて何が良いのでしょうか。
この説明をきちんとするのは非常に難しいのですが、結果的には利得帯域幅を広く取りやすいとだけ書いておきます。 差動回路を使っていないため電流制限がかからず、スルーレートもともて速いです。
その代わり、NF型フィルタなど周波数特性をコントロールするのは難しい(発振しやす)。
また、+入力のから-入力までの間はフィードバック・ループ外となり、歪を小さくしにくいとか、DC安定度がやや劣るなどの点も欠点としてあげられます。

この回路図のピンクの部分はフィードバック・ループ外となります。
現代の電流帰還型アンプの原型にマーク・アレキサンダ氏というアナログデバイゼス社のエンジニアが大きく寄与していると考えられます。 1980年代に1MHzの帯域幅と200v/usというオーディオ用パワーアンプを発表していたようです。
その回路はとても革新的な構成となっています。
続きは、明日。
追記 ================================
電圧帰還アンプでは、クローズドループゲインと帯域幅とのトレードオフがあり、両立しにくいですが、電流帰還アンプは、帰還抵抗の値で帯域幅が決まり、クローズドループゲインは任意に決定することができます。 つまり、広帯域で高利得なアンプを容易に実現が可能です。
ただ、そのことがオーディオ用のアンプで決定的な利点と言えるかは微妙なところ。 犠牲になったDC安定度の方がよっぽど大切という意見もあります。
« 本日のみなとみらい | トップページ | アレキサンダー型電流帰還アンプ »
「電子回路」カテゴリの記事
- バランス入出力アンプの検証(2)(2023.03.27)
- バランス入出力アンプの検証(2023.03.25)
- 2023年 生産中のコンプリメンタリで使用可能なパワーMOSFETとドライバ段(2023.03.03)
- バランス入出力のアンプ部を実験してみることに(2023.02.24)
- MUSES03を久しぶりに検索してみたらニセモノが沢山(2023.01.21)
いい加減なことを書いてはいかんな
>電流帰還は、フィードバックするポイントが低インピーダンスである。
全く違うな
電流帰還とは、出力電流の情報を入力に返す、ということです
載っている回路は、すべて出力電圧の情報を入力に返しています
つまり、電圧帰還です
投稿: junkdaiski2 | 2015年11月23日 (月) 18時29分
junkdaiski2 さん
このあたりでも読んでみることをお勧めします。
テキサス
http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/opa603.pdf
http://www.tij.co.jp/jp/lit/an/sboa040/sboa040.pdf
アナデバ
http://www.analog.com/library/analogDialogue/archives/30-3/ask.html
http://www.analog.com/library/analogDialogue/archives/30-4/Ask_the_Engineer.html
アキュフェーズ
http://www.accuphase.co.jp/cat/p-550.pdf
リニアテクノロジ
http://cds.linear.com/docs/en/datasheet/1227fb.pdf
intersil
http://www.intersil.com/content/dam/Intersil/documents/ha50/ha5023.pdf
等価回路が掲載されているデータシート(カタログ)や技術情報が書いてあります。
-IN端子は、エミッタ(エミフォロ)であり、+IN端子に対して非常に低いインピーダンス入力であることが分かると思います。
アンプのフィードバック形式とは別に、スピーカーの電流値をフィードバックに加えるシステムがあります。 大抵の場合、リターンしてきた電流をGND間に入れた低抵抗でIV変換して、アンプへ(電圧帰還で)負帰還しています。
こちらのアンプは、定電流出力アンプ、電流値フィードバックアンプと呼ぶ方が混乱が少ないかもしれませんね。 一部では電力アンプと呼んでいらっしゃる方もいるようです。 このタイプは、出力端をオープンにすると、すぐに出力が振り切れてしまうので、少々使いこなしが難しいと思います。
投稿: たかじん | 2015年11月23日 (月) 22時10分
この内容はあってるところもあれば、間違ってるところもある。
要は数式と具体的な数値を把握してないのでこうなるの。
ちょっと混乱を招くことになる。
投稿: mamuda | 2016年11月 7日 (月) 12時55分
mamuda さん
ありがとうございます。 確かに間違ってますね。 時間を見て訂正します。 ボケてましたね。私。 トランスインピーダンス段からフィードバックはないだろう。。。
投稿: たかじん | 2016年11月 7日 (月) 20時13分