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2013年2月16日 (土)

ダイオードの種類と特徴

Diode

いきなりグラフですが、これはちょっと衝撃の特性です。 

一般整流ダイオードの逆回復時間とそのときの電流波形なのですが・・・

 

まず、順をおって説明しますと、PN接合ダイオードは、順方向電圧がかかっている時には、
キャリアといって、電子が移動し電流が流れることができます。 
逆方向に電圧がかかると、PN接合部に空乏層ができて電流が流れなくなります。 

 

ここまでは教科書で習うとおりです。  

 

ところが、上記キャリアは、順方向電圧のときに過剰に供給(キャリアの蓄積)されて、電圧が逆方向になった間にもまだキャリアが残っていて電流が流れてしまうのです。 キャリアが枯れてなくなるまでの時間です。

その時間を逆回復時間と呼ぶのですが、一般整流ダイオードは遅く、ファーストリカバリダイオードは速いという違いがあります。 

 

さてさて、ここで上のグラフを見てみます。
逆回復時間の長さはさておき、電流の値に注目してみます。 

なんと、1Aの順方向電流のとき、逆方向へ切り替わった瞬間に3.5Aほど電流が流れています。 5Aのときにも、逆方向へは8A近く流れています。  つまり順方向電流より大きいスパイク状電流が発生しているのです。

 

こりゃ、無視できないわけです。 

 

ちなみに、逆方向から順方向へ変化するときにはキャリアがないので、こういう現象は
発生しません。 

ファーストリカバリダイオード(FRD)は、このキャリアの蓄積を低減して、逆回復時間を短くしたものです。 時間も短いですが、逆方向電流も小さくなります。  

 

高音質なFRDとしては日本インターの31DF2などが有名ですかね。

Diode2

こちらは、東芝のデータシートからの抜粋です。 一般ダイオードとFRDとの差がこれだけあるという比較例です。 HEDってなに??? 高効率高速整流ダイオードって書いていますがちょっと詳細はわかりません。

 

 

さて、次に ショットキーバリアーダイオード(SBD)です。

 

金属と半導体を接触させることで整流効果を得たものでPN接合ではありません。
SBDは、順方向電圧VFが小さいことも特長で、一般ダイオードの0.6Vより小さく0.1~0.3Vくらいです。

そして、キャリアの蓄積が原理的になく逆回復時間が極端に短いです。

ただし、SBDは耐圧を高くすることが難しいので、高耐圧品はありません。 150Vちょっとくらいまで。

 

また、先のVFが小さいというのは、順方向電流が少ないときだけの話で、大電流時には一般ダイオードに比べて大きくなり損失は大きくなりがちですから、大電流の整流に使用するときには注意が必要です。 

 

通常は問題になることはありませんが、高温時の逆方向電流がPN接合ダイオードに比べると2桁くらい多いという点も注意が必要です。  逆方向で電流が沢山漏れるってことです。

 

ここまでの3種類のダイオードの整流時のノイズ(輻射ノイズ)比較を発見しましたので載せておきます。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/hashizume/Thinking/Original/Diode4.pdf

Diode3

なかなか興味深い比較ですね。 SBDよりFRDの方が僅かにノイズが少ない。 


最後に、シリコンカーバイトSBDです。 最近登場したばかりの注目のダイオードです。

 

特長は、SBDより高耐圧が可能で、600Vから1200Vくらいまで製品化されています。

SBDと同じようにキャリアの蓄積がないので逆回復時間が短い。 

 

順方向電圧VFは小電流時は0.7~1.0V程度と小さいです。 電流が大きくなるとSBD同様に高くなりますが、耐熱が高く175度まで耐えますのでパワー系には有利です。
一般の半導体は125度から高くても150度ですから、大きな違いです。

   
動作が速く、耐圧が高いため、エアコンの電源部分(インバータ)に採用することで効率をあげることができるようになりました。 

オーディオ用にも注目され始めています。  最初は真空管アンプの整流でSBDの高耐圧品として使われたようですが、25~50V程度の半導体アンプ用のB電圧の整流に使っても音がよいとの評価もあり、一気に人気が広まってきたように思います。



シリコンカーバイト(SiC)のMOS FET、JFETや、更に高速な窒化ガリウム(GaN)MOS FETも目が離せないですね。 ダイオードではないのでまたの機会に紹介できればと思います。

 

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コメント

 nrwwesternele様
私はオーディオにのめり込んで日々研さんを積んで居る者です、今回整流器何かないかなと考えていた所貴殿の記事に巡り合いました
私のアンプは50年ぐらい使い込んだものです、故障の時は街のお店にお願いしていたのですが今回一発奮起して自分で部品交換に挑戦することにしましたコンデンサーはそれなりに変えて機嫌のよい音でなっているのですが整流用のダイオードも変えてみたいのですが貴殿の貴重なデーターを拝見して早速試してみたいと思います。変える時ダイオードの耐電圧、は大体どのような目安にすればいいのでしょうか、貴方の時間の空いた時にでもお返事くだされば助かります。またいまどきセレン整流器は売っていないでしょうね。   西川修一

西川様

SIEMENS製のセレン整流器(ブリッジ整流タイプ)で定格125V(RMS)-140mAで良ければ、http://www.soundparts.jp/diodes/Diodes.htmに有りますよ。

西川修一さん

整流ダイオードも音に影響が大きい部品のひとつと思います。 
耐圧は、実際に使用する電圧に対して2倍を超える余裕があれば大丈夫です。 AC50Vを整流するなら耐圧100Vくらい。

電流の方は、例えば1AのDC電流が欲しいとき、その3~5倍くらいのピーク電流がダイオードに流れることに注意してください。
正確な動作電流を求めるのは大変なので、動作中の温度を見るのが簡単です。 シリコン系ダイオードは丈夫ですが、100度ちかいと寿命が短いと思います。 80度くらいまでならわりと大丈夫です。

パワーアンプクラスの電流が取れるのは、一般シリコンダイード、ファーストリカバリダイオード(FRD)、ショットキーバリアーダイオード(SBD)になりますが、近年SiC-SBDも登場してきて高耐圧なSBDとして真空管アンプなどで重宝されています。

いくつか交換して試して、気に入ったものを探すというのが楽しいかもしれません。 

一時期、高級アンプにもよく使われた日本インターの31DF、31DF2が音が良いといわれています。


きゅうさん

セレン整流器もマニアの中では音が良いといわれていますね。
意外と電流が小さいので限られた用途になりそうですが、いまだに売っているところがあるんですね。  情報、ありがとうございます。

真空管アンプは2極管で整流するのが音が良いとおっしゃる方々も多いですね。 半導体アンプ用に2極管整流でつくった電源を使用してみるというのも、面白い発見があるかもしれないです。
奥が深いですね。

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