トランジスタのデータシートの読み方(2)
次に電気的特性です。
ここでも全部を読まず、重要なところだけ注目しましょう。
まずは、hfeですかね。
本当はFEは大文字です。 これは hパラメータのひとつで、直流の電流増幅率です。
簡単に言ってしまうと、ベース電流が何倍になってコレクタ電流を制御しているのかって値。
100なら、ベース電流を1mA流すと、コレクタ電流は100mA。 エミッタはベース電流とコレクタ電流が合わさって101mA。 となります。
次は、fTです。 トランジション周波数です。 どのくらいの周波数まで増幅できるかって数値です。増幅率が1まで落ち込んだときの周波数ですから、この周波数では厳密には増幅できていませんね。
しかも、Icによって左右されます。 データシートにfTのグラフが載っている場合は見てみると良いでしょう。
お次は、Cob。 コレクタ出力容量です。 ミラー効果がありますので、エミッタ接地回路では重要な項目です。 小さいほど周波数特性を伸ばしやすい。
最後に雑音指数NFです。 これは増幅したときにどれだけノイズが加算されるかという数値です。 アンプにとっては少ないほうが良いです。
グラフが載っているときには、じっくりと見てみるとよいでしょう。
おまけで、hfeの分類。 hfeはとてもバラつきが大きいパラメータで、製造上仕方がない
らしく、出来上がったものを選別、ランク分けしています。
その昔、マジックで色を塗っていたので、このような名称になったらしいです。
O:ORANGE
Y:YELLOW
GR:GREEN
BL:BLUE
V:VIOLET
という具合です。
色を塗っていたのはトランジスタガールでしょうか?
ちなみに、このランク分けは製造メーカによって呼び名が若干違います。
色々な情報はデータシートに載っていますが、項目があったりなかったりと、まちまちです。
大体、そのトランジスタが持っている特長的な数値やグラフを載せるのが普通です。
ノイズが低いことをウリにしているTRは、ノイズについて詳しく書いていますし、高周波特性をウリにしているTRは、周波数特性やCob曲線などが載っています。
特性グラフが載っていない場合は、そのTRの得意分野ではないんだなと考えて良いと思います。
« トランジスタのデータシートの読み方(1) | トップページ | 日本のトランジスタの命名法 »
「電子回路」カテゴリの記事
- MN型ボリュームとは(2022.05.03)
- 2021年版、正しい中華オシロの選び方(2021.12.25)
- 1608チップ抵抗、チップコンデンサを付けるのに最適なピンセット選手権(2021.08.11)
- オペアンプ大全(2021.06.02)
- 電子工作の難易度レベル分け(2020.10.25)
コメント