JFETのデータシート
なぜか、東芝のwebサイトでは英語版のデータシートしか見つからないのですが、載っている情報は同じだと思うので、そのまま進めましょう。 googleで検索すると日本語のデータシートも見つかると思います。
トランジスタと同じく、一番上の特長を見てみますと、
・低雑音プリアンプ用
・トーンコントロールアンプ用
・各種DC-AC高入力インピーダンス増幅回路用 と書いてあります。
これだけで低ノイズでオーディオ向けという事がハッキリわかるかと思います。
絶対最大定格はトランジスタと同様に、瞬時たりとも超えてはならない項目です。 2SC1815などと同じTO-92というパッケージながら、許容損失が100mWと小さいのに注意が必要です。 トランジスタなら400mWくらいまでは大丈夫なのですが。。。
次に電気的特性です。
重要な項目のみ注目しましょう。
ドレイン電流idss
これは、単なるドレイン電流ではなく、ゲートとソースとを直結した時のドレイン電流です。
いわゆるゼロ・バイアス時の電流値です。
なぜ、重要かといいますと、JFETはこのidssの電流を超えて動作しないからです。 トランジスタのコレクタ電流のように、動作的には壊れるまで超えていけるものではなく、デバイス的に飽和して、それ以上の電流が流れなくなるリミッターのようなものです。
(実際には、もうちょっとだけ流すことができます。)
そして、idssはトランジスタのhfeのように大きくバラつきます。 そのため、JFETのランクはidssの大きさで区分けされます。
このidssのバラつきがイヤらしいのは、動作電流や動作電圧と直接関係するためです。
更に、Id-Vgs曲線から分かるように、ドレイン電流が大きい部分の方が直線性が良いので、歪を少なくリニア動作をさせようとすると、なるべくIdの多い部分を狙いたくなるのですが、バラつきにより動作不良になってしまう可能性があります。
結局は、idssの半分くらいまでのドレイン電流にしておかなくてはいけません。
さて次は、順方向伝達アドミタンスです。 なんだかヤヤこしい名称ですが、増幅率と憶えておけば良いでしょう。 数値が大きいほうが増幅率が高い。
この数値は、JFETの種類によって大きく違います。 2SK30はドレイン電流1mA時に約1.8mSくらいですが、2SK170だと、同様に1mA時で15mS程度あります。
増幅率が、JFETの種類によってこれだけ大きく変わるのです。
次は、入力容量Cissと帰還容量Crssです。
この数値は周波数特性に直接影響があるので、結構大事です。
2SK30では、それぞれ、8.2pFと2.6pFですが、2SK170では30pFと6pFと大きいです。
悪いことに、増幅率が高いK170で帰還容量が大きいということは、ミラー効果により、よりいっそう周波数特性が伸び悩むという事を意味します。
最後に雑音指数NFです。 バイポーラトランジスタと違って、信号源抵抗と動作電流による等高線のようなスポット的ローノイズ条件ではなく、低雑音設計がしやすいです。
信号源抵抗は ちょっと高めの方が低ノイズ。 ドレイン電流にはあまり左右されない。
という事がわかります。 ただし、入力抵抗を高くするという事は、抵抗から発する熱雑音が加わるので、あまりに抵抗値を高くするとアンプ全体としては低ノイズにならないので注意が必要です。 前段に入れるボリュームは20k~50kくらいが低ノイズに仕上がるとみて良いでしょう。
何事もバランスが大事ということですね。
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