能動負荷とは
能動負荷といっても、ピンとくる人は少ないと思います。
私もかつてはそうでした。 アクティブロードとも言います。 パッシブロードではないということです。 最も簡単な回路は上のような回路です。
実際には、このままの回路で使う事は殆ど無いと思います。 そもそも定電流ダイオードは通常の回路では滅多に使うことはありません。
では、どうするかというと。。。
こんな回路構成になります。
能動負荷の特徴は、何といってもゲインの高さです。 コレクタ接地回路は出力インピーダンスが数M~数十MΩととても高いため、抵抗負荷の場合は、その抵抗値(数k~数十kΩ)がゲインを支配します。 大雑把な計算式では ゲイン= gm x 負荷抵抗 です。
定電流回路もコレクタ接地回路で実現していて、コレクタ同士をぶつけているような構成にしますと負荷抵抗は非常に高くなり、結果、電圧ゲインも非常に高くなります。
そのゲインは、デバイスのアーリー電圧VAに依存し、コレクタ電流(動作電流)には依存しません。大体のディスクリートトランジスタにおいて、このゲインは50~70dBになります。ざっくり見積もるならば、中間の60dBとしておくのが良いでしょう。
60dBというと1000倍程度。 通常の回路では必要がないようにも思えますね。
もちろん上のような回路単体では、ご想像の通り、ゲインが高すぎてDC電位はまったく安定しません。
わずかなhfeの変化でDC電位が吹っ飛んでしまうからです。 hfeは個別のバラつきもありますし、温度依存性、コレクタ電流依存性がありますから、とても厄介です。
ということで、能動負荷は、NFBループの中で使用して初めてそのメリットを活かせるようになります。
頒布中のフルディスクリート基板の2段目の構成がこのタイプです。 上下を逆さまにしたものです。
そして高ゲイン以外のメリットとして、エミッタ接地は、負荷抵抗が軽い(抵抗値が高い)ほど歪が少ないと言われています。 私は実際に計測したことは無いのですが、何かの文献で負荷が重いと高次の歪が増えるというのを見た覚えがあります。
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能動負荷を使う理由として低歪の増幅器を作りやすい
事を挙げられていますが、これはトランジスタというものはコレクタ電流の変化で
hfe等のパラメータは変動するものなのでコレクタ電流を動作によって変動させない
為というと分かりやすいかもしれません
動作点の固定という点から見ると設計が容易になるという側面もあるのは…これは特に指摘する必要はなかったですね
投稿: yoshiaki | 2024年8月26日 (月) 17時22分