フォールデッドカスコード
昨日の、カスコード、カスコードブートストラップに続き、フォールデッドカスコード回路です。折り返しカスコードとも言います。
ご覧のように、入力トランジスタがNPNの場合、PNPトランジスタを使用します。
カスコード部のベース電位が一定になっていて、入力TRのコレクタ電位が一定となるのはカスコード回路と同様です。 しかし、電流の流れが異なっています。
初段の負荷抵抗に流れる電流の変化を折り返しカスコード回路がピックアップし、初段の電圧増幅はゼロとなります。 この折り返しカスコード部を2段目と呼んでよいのか、微妙ですが、電圧増幅は2段目から発生し、初段は電流増幅のみとなります。
利点は、カスコード回路と同じく、入力TRのコレクタ電位が一定のため、ミラー効果が無く高域が伸びるのことです。
また1段目、2段目を合わせて初めて電圧増幅度が発生するため、実質1段増幅回路とみなすことができ、しかも2段目の出力電位は0V近辺とすることができます。 よって高速かつオープンループゲインが低め。 多量のNFBに頼らない構成のアンプとすることができます。
ラインアンプやDACのポストフィルタのように仕上がりゲインが6~10dB以下になるようなアンプの場合には向いていると思います。 高速性重視なヘッドホンアンプを作るにも良さそうです。
ただし、初段負荷に流れるの電流が初段と2段目とで分岐することから、電流配分が他の構成のアンプよりシビアで、適切なバランス取りをしないと、すぐに動作不能状態になります。抵抗値の選択が非常に難しい、設計が難しい構成といえます。
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