エミッタ接地回路の計算式
アンプ設計に必要な数式を用意しました。
半導体、増幅回路、アンプ系の本を読むと殆ど出ているのですが、いちいち本を開くのは面倒ですし、普段から憶えておく程のものでもありません。 憶えていても、あれ? っと忘れてしまうのは歳のせい?
今日は、バイポーラTRのエミッタ接地回路です。
Emitter Common
入力インピーダンス Zin | hfe Zin = ----- gm |
低い |
出力インピーダンス Zo | 1 VA + VCE Zo = ----- = ------------ hoe IC |
高い |
電圧利得 Av | rπ Av = - (--------)gm・RL Rs+rπ |
大 |
電流利得 Ai | Ai = hfe | 大 |
※ VA アーリー電圧
hfe
※ rπ = -----
gm
q
※ gm = (----) IC ≒ 40 * IC
kT
q = 1.602x10-19 [C] ・・・ 電子の電荷
k = 1.3805x10-23 [J/K] ・・・ ボルツマン係数
T = temperature [K] ・・・ 絶対温度
※ Rs = 信号源インピーダンス
※ RL = 負荷抵抗
枠内の数式は、トランジスタだけの数値を計算するための式です。
上の回路図でいうと、回路的な出力インピーダンスは ZoとRL(回路図ではRと記載)の並列になります。 殆どの場合、ZoよりRLの方が十分に小さいので、Zoは無視できるほどになります。
電子回路において「十分に」というのは、1/10以下や10倍以上のことを言うことが多いです。 式の項が2つ以上あって、どの項がその値を支配しているのかをあらわすときに使う表現です。
また、みての通りトランジスタの品種に関わらず式は同じです。(デバイス依存部がない)
これは、これらの数式を使って計算した値が完璧じゃないということでもありますが、通常、リニア動作するような動作領域では計算した結果が1/2倍以下、2倍以上は離れない数値です。
1/2~2倍という数値しか計算できないとなると、随分、大雑把だなって思うかもしれません。 ところが、hfeひとつみても大きなバラつき(2倍どころではない)があり、それらを選別して、きっちりと計算どおりにすることは現実的ではありません。 温度や動作電流でシフトしていくパラメータも沢山あります。 つまり、手計算はあくまでも目安であって、回路試作するときの初期の数値決定でしかありません。 実際に回路を組んで動作を検証してく作業は必ず必要です。
地図では、こうなっているハズだからと言って、目をつぶってGPS情報を頼りに車を運転できないのと似ているかもしれません。 実際に組んだ回路を計測し、予定通りになっていない部分を修正してくものだと考えるのが良いでしょう。
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エミッタ接地回路の計算式
(https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/01/post-26ac.html)
の電圧利得 Avの式の分母にある Rs+rπ のRs とは何でしょうか。
初歩的質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
投稿: マッケンジー | 2021年5月10日 (月) 17時32分
マッケンジー さん
Rsは入力の信号源インピーダンスです。説明が抜けていました。 申し訳ございません。
投稿: たかじん | 2021年5月10日 (月) 23時32分