差動2段回路+能動負荷
2段目のゲインが高い。 これは能動負荷全般に言えることですが、この2段目だけで50~60dBほどのゲインを見込めます。
また差動の出力の合計を取り出す事ができますので、無駄が少なくなります。
2段目のゲインが高いと何が良いのでしょうか?
初段から発生してしまう歪というのは、NFBをかけても低減させることはできません。 なぜなら、その初段が入力信号とNFB側からのリターン信号を合成しているからです。 合成する回路に不具合があったら、出力にも不具合が出るというのは考えると至極あたりまえ。
ところが、2段目以降の回路に歪が多少あっても、初段の差動動作はその歪を帳消しにすることができます。 つまり2段目が能動負荷でゲインが高いと、2段目や出力段で発生する歪を低減することができるのです。
ついでと言っては何ですが、NFB量が多いほど初段の出力振幅は小さくなります。 そして、出力振幅が少ないということは歪の発生も少ないということにもつながるのです。
ということは、初段以外の部分で大きなゲインがあって、そのゲインの大半をNFBで食わせる構成にすることで、初段の歪も減り、アンプ全体の歪みも減らすことができるという仕組みです。
別に2段目がゲインが高い必要はなく、3段目でも4段目でも良いのですが、増幅段の段数が多いと回路が複雑化していきますから、電圧増幅は2段くらいで、その2段目が高ゲインというのは理にかなっているといえます。
また、差動2段回路なので初段の負荷は、ほぼ等しくなってDCドリフトが少ない上に、DCゲインが高く、多量のNFBで補正されますから、DC安定度は抜群に良くなります。
定数設定にもよりますが初段と2段目を合わせると、おおよそ80~95dBにも及ぶDCゲインがあります。
欠点としては、2段目のDC負荷が等しくない点です。 これは、カレントミラー回路のダイオード接続してある方の上側に抵抗を直列に挿入することでバランスをとることが可能です。
つまり簡単に対策がうてます。
ということで決定的な欠点が残らない、非常に優秀な回路といえます。
DCアンプを組むならこの構成を基本にする(※)のが吉です。
※) このままの構成で使用するのではなく、この回路に出力段をつけたり、場合によってはカスコード回路をつけたりして応用するという意味です。
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