uA741の回路
せっかくですから、昨日紹介したワイドラーさんデザインのuA741という
オペアンプの回路の構成を説明しましょう。
解析というほどではありません。 ざっと、どういう回路構成なのか見てみましょう。
そうそう。 このブログはあくまでもコラムの集合体です。 解説書でもなければ参考書でもありません。 いまさら書くまでもないことですが。念のため。
初段の構成ですが、ちょっと現在の一般的な差動入力とは違ったことをやっています。
回路図のQ1とQ2です。
なんと、いきなりエミッタフォロアー回路で、コレクタ側が共通となっています。
これにより、入力インピーダンスを高く保つことができています。
エミフォロによりインピーダンス変換された信号は、Q3とQ4のカスコード回路によって、再びインピーダンスを上げてゲインを稼ぎます。
まどろっこしい事をやっているようにも見えます。 私の想像ですが、このプロセスのPNPはhfeが少なく、どうしても初段をNPNにしたかったのでは
ないでしょうか。
Q5とQ6、Q7でカレントミラー負荷(能動負荷)となります。 通常のワイドラー型にひとつトランジスタを追加することで、ベース電流分を補うことができて精度が向上します。 この回路もワイドラーさんの考案だったのですね。
おそらく、この1段目だけで50dB以上のゲインを稼いでいます。
2段目をダーリントン構成として、初段への負荷を極力減らしているから可能となっているのです。
その2段目も負荷をワイドラー型カレントミラーで受けていますので、同様に50dB以上のゲインがあります。
Ccの30pFが位相補正コンデンサです。 この場所に挿入することで、ミラー効果を得て小容量ながら、最大限の位相補正を行なうことができますし、Q17のCobの容量変化の影響による歪率悪化もマスクできています。
一説によると、この容量でオープンループのファーストポールは約4Hzと極端に低く、過剰に発振しにくい容量らしいです。 そこは特性よりも使いやすさを重視しているとも言えます。
あとの回路は、 バイアス回路+出力段+出力電流制限回路です。
+側と-側で構成が違うのは、IC上に作るPNPとNPNの特性の違いがあるから、それぞれに適するように少しだけ異なる回路構成をしているんだと思われます。
PNP側は2段ダーリントンで、NPN側は1段となっています。 面白いですね。
出力段はAB級ですが、Q13Aが定電流源となっていて、オペアンプの使用電圧が変わっても出力段のアイドリング電流を一定に保つことができます。
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