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2012年12月28日 (金)

米Threshold社のSTASIS回路とは(2)

今年の締めに相応しい 素晴らしいアンプ 米Threshold社 STASIS 1の回路です。
   

 

Stasis_2

 

この回路図は簡単に見せるために簡略化しています。

本当は、出力段が10数並列と相当な物量投資になっています。 また、初段と2段目にはカスコード回路がついていますが、図では省略しています。

 

では早速、回路の解析をしていきましょう。

 

まず、STASISセクションと呼んでいるAクラスアンプ部を抜き出してみましょう。

図でいうと青い部分です。

 

一見、普通の2段ダーリントン構成の出力段です。 ただしコレクタ電圧が信号電圧と一緒に動いてくれるようになっています。 図でいうとピンクの部分です。

 

この電圧シフト回路があるおかげで、Aクラスアンプ部のTRの発熱は少なくできて大きなアイドリング電流を流すことができます。 フローティング電源の一種といってもよい回路です。

 

そのピンクの部分の回路の動作は、2段目の出力の信号電圧と電源電圧とを抵抗で分圧した電圧を2段ダーリントン(エミッタフォロア)で低インピーダンス化して、Aクラスアンプ部の電源として供給しています。 分圧比は半分程度です。

正確な電源電圧は知りませんが、例えば+B電圧が50Vだとすると、Aクラスアンプの電源電圧を28~29Vくらいに制限します。 そして信号が振幅するとその電圧は追従するようにシフトするのです。

実は、このようなシフト回路により電源電圧を信号と同期させてコレクタ電位を振ってあげることで、エミッタフォロアから発生する歪を抑える効果があることは割と広く知られていて、他社からも同様に電源を動かすような仕組みのアンプが出ていました。  もしかすると発祥はこのSTASISだったのかもしれません。

そして次にインバーデッドダーリントン段です。 緑の部分です。

STASIS回路としてはカレントミラーブートストラップ部と呼んでいます。 

確かに、カレントミラーと言えばそうですね。 ダイオード(TR)が抵抗に置き換わったともとれます。

Aクラス部の最終段との間で強力に帰還がかかり、Aクラス部の負荷は減っているとも言えます。 簡単に言うと電流ブースターが追加されているといってよいでしょう。 

 
なかなか興味深い構成です。 

そして、Aクラス出力段電圧シフト回路、電流ブースター部の各10数パラTR全てにおいてベース抵抗がついていないという点も見逃せません。

なぜ発振しないか不思議ですが、音質に深く関与していることは間違いありません。

このように複雑な構成なため、選択するTRの種類や位相補正など、高度な技術がないとまともに動作させることは不可能でしょう。

ナカミチのPA-70 の説明で 「極めてシンプル」 なんて言っていますが、この出力段は複雑な構成の回路だと思います。 

最後に、初段や2段目ですが、 見ての通り、出力段とはうって変わってとてもシンプルな構成です。  その方が良いと判断したのでしょう。  STASIS 1は モノラルアンプで1台

170万円もした超高級機ですから、その気になれば、いくらでも複雑な構成にもできたハズです。 

 

 

終段無帰還アンプのひとつの完成形ともいえるアンプと思います。 
このアンプから出る音は、誰が聴いても圧倒的といわれています。  

本当の回路図を見てみたい方は「Threshold STASIS」とgoogleで画像検索してみて下さい。 

 

明日から、少しの間おやすみします。  では 皆様  良いお年を

 

追記==================================
 
Zd_2
 
STASIS回路の中で、こういうトランジスタの使用方法がありますが、逆電圧を加えたときのブレークダウンを利用した定電圧回路です。 ツェナーダイオードと同等と考えてよいと思います。  ブレークダウンする電圧はTRの種類により異なりますし、ノイズが多く出る場合が多いので、どのTRでもできる技ではありません。 また、一度ブレークダウンさせると、そのTRにはダメージがあり、本来の増幅動作には難があります。
 
昔、この使い方で定在波計測用ホワイトノイズ->ピンクノイズジェネレータを作りました。 抵抗やZダイオードよりも大量に良質なノイズが発生するからです。
 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

ブログ更新、お疲れ様です!
今年はいろいろお世話になりました m(_"_)m
また来年もよろしくおねがいします!
良いお年を!

こんばんは ハクションさん

こちらこそ、ハクションさんの速攻の基板化希望など、お世話になりました。

来年は出張がありそうですので、今年のようなペースではいけなくなる可能性がありますが、
どうぞよろしくお願いいたします。

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