ワイドラーさん
定電流回路や現代オペアンプの基礎を発明した人です。
ワイドラー型カレントミラーとして名前がついた回路もあります。 といっても、トランジスタ2つのベースを接続して、片側のトランジスタは、コレクタにも接続(ダイオード動作)して電流を鏡映しのようにするいわゆるカレントミラー回路の一番基礎になるものです。
これを発明した強みがあり、オペアンプの回路は革新的でした。
ワイドラー氏がフェアチャイルド社に入社する以前、15歳のときに既にラジオやテレビを修理できたという。
フェアチャイルド社に入社したあと同社にアナログ回路の強みを生み出し、その後 uA741のもとになるLM101を開発します。入社5年目のことです。(半導体製品の発売までには2年程かかるので入社2~3年目には内部回路ができていたはず)
それ以前にも業界初のICオペアンプuA702、レギュレータuA723などを設計したらしいです。 ひとりの変態的設計者と、それを許す英断の上司がいなければこういうものは世に生まれて来ない。と思います。
さてさて、これがuA741の回路です。
カレントミラー いや、ワイドラー型定電流回路が随所に見られるのが判ると思います
この当時で既に1段目も2段目も能動負荷として、オープンループゲインを106dB以上にしていました。 世間のオーディオアンプも真空管からトランジスタへと移行している時期だとは思いますが、これほどまでにオープンループゲインを上げてNFBを多量に掛けていたものはないでしょう。
それ以外にもuA741が画期的だった点が2つあります。ひとつ目はユニティゲインでも使えるほどに大きな位相補正コンデンサを
内蔵していたこと。 これにより、オペアンプはとても簡単に回路が組めるようになりました。
2つ目は、出力回路に保護回路が内蔵され、出力ショートしても壊れないという点です。この2つは、どちらも使い手の側にたって考えられていて、誰もが簡単にオペアンプを使えるようにという強い思想が感じられます。卓越した回路技術をもって、ユーザーフレンドリなものを作る なんだかワイドラーさんの優しい人柄が見えてくるような、そんな気がするのは私だけでしょうか。 小説などで行間から滲み出る・・ と同じように回路図の隙間から滲み出てくる意思のようなモノを感じます。
uA741の回路技術や思想は、その後のオペアンプの回路に影響を与えたのは言うまでもありません。ちなみに、オペアンプのデータシートは大抵の場合、等価回路を載せています。
その当時のロジックICなどもそうですが、等価回路を公表することで使用者がどのように使ってよいのか判断できるようにするためです。
ICの内部回路の公表は当時も、現在も当たり前のことなのです。 ですからセカンドソースといわれる、別の会社から同等の回路を使った互換品などが出てきます。
本当の意味のセカンドソースはちゃんとライセンス契約を結んでライセンス料を払って作るものなのですが、当時はそういう考え方もなく、パチモン(コンパチ物)という互換品が各社から沢山でたようです。
作って売ったもの勝ち。 というのは、今もあまり変わらないかもしれませんね。
それによって、オペアンプの市場価格は下落し、業界をリードしていたフェアチャイルドの業績は悪化の一途を辿ったようです。
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