初段のトランジスタのパラレル化のメリットとデメリット
頒布しました、フルディスクリートヘッドホンアンプ基板の初段差動部は
トランジスタを2パラに出来るようにパターンを引いてあります。
2パラ化するメリットとは一体なんでしょうか。
どこかで、書いたような気もするのですが、初段のトランジスタに流す電流値は、S/Nを決定する重要なパラメータでもあります。 結論から言いますと、バイポーラトランジスタの場合、電流は小さいほうがノイズが少ないです。
これは、トランジスタの種類によらず、通常の増幅に使うような電流値ではそのようになる特性があります。 細かくいうと信号源抵抗の値にもよるのですが、ボリュームがあったりしますと、信号源抵抗は極端に小さい値にはならないので殆どの場合でなりたちます。
ただし、電流値と音質の関係もあり、トランジスタぞれぞれに最適な音質が得られる電流値というのもあって、一概に電流値を下げることが良いとは言い切れません。
基本回路構成の初段2SC2240には、約1.8mAほど電流を流しています。この電流値を守りながら、2パラにすると、発生するノイズ源も2倍となるのですが、それぞれのトランジスタが発するノイズは相関性がないため、足したノイズは2倍とはならず、ルート2倍(1.41倍)となります。
やっぱり増えているじゃん。
と考えるのはまだ早いです。 実は、初段増幅率も2倍となっているため、NFBがかかったアンプトータルとしては、逆にルート1/2のノイズになるのです。この原理を応用してNJM2068というオペアンプは、初段トランジスタを6パラにして低ノイズ化してあると、ある本で読んだことがあります。
では、並列化のデメリットは、何でしょうか。
並列に繋いだトランジスタの特性は、全く同一ではないために、音質は、若干ですが響きに雑味が増えてしまいます。 同一ロットで、hfeやVbeを選別して使うと、もしかしたらこの雑味は少なくなる可能性もありますが、試したことはありません。
では、並列化のデメリットは、何でしょうか。
並列に繋いだトランジスタの特性は、全く同一ではないために、音質は、若干ですが響きに雑味が増えてしまいます。 同一ロットで、hfeやVbeを選別して使うと、もしかしたらこの雑味は少なくなる可能性もありますが、試したことはありません。
同じNPN側でも信号の入力を扱うトランジスタの特性の僅かなミスマッチが音質へ影響するのであれば、NPNとPNPを使った対称差動回路は、どうなるのでしょうか。
なんとなく想像がつくと思いますが、片側差動回路と対称差動回路の音質の違いはそういう根本的な部分にあるんだと思います。
初段は片側差動回路で構成し、2段目に対称差動(正確にはちょっと違う)を使ったサンスイのダイアモンド差動回路ってすごい発想だなっと関心します。
あの滑らかで力強さも兼ねつつ、音楽的表現力の幅の広さは、こういったところから生まれているんだと思います。
※ダイ(ヤ)モンド差動ではありません。
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