熱雑音とは
抵抗1本からでもノイズが発生します。
熱雑音、ジョンソンノイズと検索をかけると、詳細がでてくると思います。
熱雑音の電圧は
Vn = √(4kTR⊿f) という式で表されます。
k:ボルツマン定数 1.38x10^-23(J/K)
T:絶対温度(K)
⊿f:帯域幅(Hz)
R:抵抗値
帯域幅を20kHz、30℃、10kΩの抵抗で計算すると、
Vn=1.83uV となります。
オーディオ信号の2Vを基準にすると、
2 / 1.83uV = 1092896 倍 デシベルでいうと 121dB
実際の測定ではA-wait(聴感補正)をいれてs/n比を表しますので、
ここから2~3dBは良い値となります。
とは言っても s/n比 120dBを実現するのはいかに大変な事であるかお判り頂けたのではないでしょうか。 10kΩの抵抗1本分から発生する熱雑音に等しいくらいのノイズの少なさが必要なのです。
アンプでs/nが100dBというのは、割と簡単です。 少し頑張れば110dBもいけます。
ところが120dB以上を実現しようとすると、途端に難しくなるというのは、この熱雑音のおかげなのです。
現代の超ローノイズオペアンプを使うと達成できるのですが、それは、低ノイズ回路の技術を持っているとは、厳密な意味では言えないかもしれません。
低い抵抗ばかりを使うとノイズを低くはできるのですが、トランジスタへの負荷が重く、歪率は増えがちです。 負荷が重いと音がよいとはいえない状況になってしまうので実は非常に難しいのです。
何事もバランスが大切なのかもしれません。
追記==========================
HPA-12 ヘッドホンアンプ FET入力版でノイズを計測すると、a-wiatで約2.5uV。
いつもは500mVの基準でS/N比を公表していますので、
S/N比 : 500m / 2.5u = 約106dB です
一応2Vrmsまではクリップせずに出力が出ますので、2Vを基準にすると
S/N比 : 2 / 2.5u = 約118dB となります
これ以下へノイズを下げるというのは至難の業です。 はい。
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