トランスの磁束もれ方向
とても下手な絵で申し訳ないですが、一般的なEIコアと呼ばれるトランスの無負荷時の磁束漏れの方向は、
この絵のように、コア材の方向に漏れる方が多いようです。
ですので、アンプ基板やボリュームが配置してある方向へは、トランスのコアは横向きにすることで、磁束漏れ(専門用語ではリーケージフラックス)の影響を少なくすることができます。
トロイダルトランスやRコアトランスなどは、コア材がドーナツ状になっていて、非常に磁束漏れが少ないです。 また、トランスの負荷が軽いと殆ど漏れないという特徴もあります。
EIコアは、負荷が無くても一定量の漏れがあります。
そして負荷がかかったときにはコア材がない方向(コイルが見えている方向)に沢山漏れ出すので注意が必要です。 ヘッドホンアンプは、負荷は軽い方ですのでコイルが見えている方向を基板側へ向けるのがよいでしょう。
EIコアでも、珪素鋼板をコアの外側に巻きつけた磁気シールド付きや、ショートリングという銅の薄い板をコイルの外周に巻きつけたものがあり、ある程度はリーケージフラックスは低減することができます。

銅って非磁性体だから、磁気は通してしまうんじゃない? と思うかもしれませんが、ちょっと面白いところです。
交流が流れているコイルから出た磁束が金属に通過すると渦電流が発生するのですが、その金属を一周廻しショートさせることで、その電流はコイルを一周するように流れます。
そして、その電流から発生する磁束がコイルから出る磁束を打ち消す方向になっているのです。 ということで、磁束漏れを低減すことができるというが原理です。
上の珪素鋼板の方は、磁束を強磁性体(珪素鋼板)に閉じ込めることで漏れなくする手法です。
真逆の特性を持つ材料で、同じ結果を得ようとするアプローチの違いが興味深いですね。
追記==============================
定格負荷時のリーケージフラックスのグラフを発見しました。
EIの上下方向の漏れは、かなりスゴイ・・・
定格負荷時にはコア方向がもっとも少ないので電流が大きい場合には、その方向にした方がよさそうです。
追記==============================
定格負荷時のリーケージフラックスのグラフを発見しました。

EIの上下方向の漏れは、かなりスゴイ・・・
定格負荷時にはコア方向がもっとも少ないので電流が大きい場合には、その方向にした方がよさそうです。
そして、総合的に判断すると、トランスは、基板に対して斜めに配置するのが一番良いように思います。
あれっ 私のテストベンチも気づかないうちに斜め配置だった・・・
しかも、実験してみたところ、ユニバーサル版だと電源基板-アンプ基板間のケーブルでハムを拾って影響があったのですが、プリント基板の方は、電源部-アンプ部が最短でつながっているためか、トランスの向きによらず殆ど影響がでないです。
強いて言えば、基板とトランスを50~60mmほど離すと良い。 って感じです。
さすがに 5mm程度まで近づけると、わずかにハムが乗るのが聞こえます。
※)昔、買ったAKAI(A&D)のカセットデッキで、トランスが斜めに配置していたのは、こういう理由があったからだと言うことにやっと気づきました。
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