アンプの部品の差異について
フルディスクリートHPAを仕上げるにあたって感じた部品の差異について
部品の種類によって音が変わるというのは、紛れも無い事実ですが、その現れ方が面白い傾向をしていましたので、私が感じたことについて書こうと思います。
当初、私もコンデンサは一般品でいいかなっと思って、ごく普通の一般品をつかっていました。
念のためと購入していた黒いミューズに交換してみると、高域がうるさく、中域の間が抜けていて、低音はスカスカという、どうしょうもない音になってしまい、音響用なんて使わない方がいいと感じました。
のちに、それは間違いだったことに気がつくのです。
まだ最適な定数が出ていないときに、入力カップリングコンデンサを一般品と黒ミューズと
を交換して、音の違いを聴いてみました。
その時は上記のような感じで、一般品の方が耳障りな高域のうるささが少なくて
聴き心地が良かったのです。 ところが、そのコンデンサを使用したまま回路定数を調整していくと、何故か残響音が足りなく、ボーカルがハスキーな描写となり色っぽさがなく、全体的に低い所でバランスがとれてしまう。ですがオーディオアナライザで計測すると、
歪率も周波数特性も特に問題ありません。
できるだけ歪率を下げるような定数(NFB量が増える方向)へと持って行くと、高域の抜けが足りなく、もっさり気味でネ暗な音。 物は試しで、懲りもせずカップリングコンデンサを緑ミューズにしてみました。 するとどうでしょう。 やっぱり高域がうるさい(笑
こりゃぁ、ラチがあかないと感じて、禁断のDC直結をバイポーラトランジスタで試しました。
これが決定的でした。 なんせ、これほど音への影響があるコンデンサをバイパスしたのですから、これで高域がうるさかったら、それはもうコンデンサのせいではありません。
結果は・・・ 大当たり。
高域がうるさいままでした。 ミューズよ、ごめんよ。疑って悪かった。
高域が抜けてこない一般品の特性を、アンプの高調波(歪)で補って高域があるように
見せかけるようなチューニングになってしまっていたのです。
それに気がついたあとのチューニングは早かった。 DC直結のまま各所の抵抗値を変更して響きが綺麗にでて、尚且つ、高域がうるさくない方向へチューニングする作業です。
抵抗値を上げて高域がうるさいと感じたら、抵抗値を下げる。 抵抗値を下げて高域がうるさくなれば逆にする。 数カ所の抵抗で繰り返すだけ。 そうして繰り返すこと約1週間で
定数が決まりました。 実際には抵抗を変更したあと1~2日間ほどエージングしないと音が落ち着いてこないので、電源を入れっぱなしで待つだけという作業です。
バイポーラトランジスタ入力の場合、DCを切らないとボリュームの摺動子に入力バイアス直流が流れてボリュームを傷めてしまうので、最後にはカップリングコンデンサを付けます。
もちろんミューズで。 緑と黒の2つのミューズ。 もう、どちらも高域がうるさくありません。
細かい音の表現は黒い方が上手なようで、緑の方は少し低域の勢いと色っぽさが少ない。
そうして一皮剥けたアンプの音は、一般品のコンデンサを入力に使っていたときとは明らかに表現力が違い、初段トランジスタを交換するとその種類の違いをとても良く表現できるようになりました。
こういった経験から、どこかのパーツが音質的にボトルネックになっていると、それにマスク
されて、他の部品の違いがあまりでてこない。
そればかりか、高音質部品といわれる部品の良さをも台無しにしてしまう。 ということが
分かりました。 こんな時代に、日夜、オーディオ向けにコンデンサを開発しているニチコンの技術者の方々に、申し訳ないことをブログに書いてしまったなと、反省しています。
ただ闇雲に高価な部品を使えば良いのかというと、それはに疑問があります。
適材適所という言葉がふさわしいかどうか、ちょっと自信ないですが、最低限守らなければ
ならない部分に、そんなに高くなく、でもオーディオ用というような部品を使うというのが、
よろしいんじゃないかと考えるようになりました。
実際に使った黒ミューズ100uF/25Vは秋月で1個30円です。 一般品は10~20円なので
2~3倍の値段がしますが、値段の差でいうと10~20円です。
この違い、金額では少ない差ですが、音質では大きいと思います。
カップリングのバイバスと黒ミューズを通したときの音質は、似た傾向がありました。
秘蔵のブラックゲート(ルビコン)も同様でした。
東信の銀色は、高域が幾分マスクされて大人しくなります。高調波歪が多いアンプや
高域がうるさく感じるアンプには丁度良いのかもしれません。
YAHAに使うと良く聞こえるというのはわかる気がします。
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