ぺるけ式ことFET式差動HPA Ver.3
相変わらず、とても親切丁寧な説明で、読み進めると、ついつい作りたくなる衝動にかられますね。 しかも、何といいますか、読んでいるだけで物の本質が解り、自分で設計して煮詰めた
気分になれる文章です。 さすがです。
実際に作ってみても、この部品点数の少なさから、初心者でも成功する率が高そうですし、音の方も、一般的なOP-AMPをつかったものと違った傾向をしているので、その音が
気に入れば充実感が高いアンプだと思います。
私が回路の説明をするまでもなく、ぺるけさんが詳細を書かれておりますので、ここではちょっとだけ感想を述べさせて頂きたいと思います。
大きな変更点は、電源電圧を12Vから15Vへと上げているところです。
それによって、増幅部のリニアリティUPと、C電源の拡大をおこなって大出力時の歪を抑えることに成功しているようです。
増幅部の+電圧が12V弱あり、そこそこの振幅電圧まで歪が低くなっているようです。 私もフルディスクリートHPAで電源電圧 交流6.3Vを整流した直流7.8V程度の電源電圧で調整したので、その調整の微妙さ加減から、電圧を上げたくなる心境はわかるような気がします。
具体的には、初段の差動回路は、電流が多いほど、また負荷が軽い方が歪の発生が少
ない傾向にあります。 軽い負荷(高い抵抗値)で電流を増やすには、電源電圧を高くするしかないというのはオームの法則で導かれるとおりです。
私は多量NFBでそれを乗り越えました。 ぺるけさんは電圧をあげる手段をとったようです。こういったアプローチの違いがありますが、少しでも歪を抑えたいとう方向性は一緒なのかもしれません。
色んなジャンルの音楽を聴くと、どうしても大きな歪は音のクセとなって元の雰囲気を阻害する場合がでてきます。 ジャズはいいんだけど、女性ボーカルはいまひとつ・・・ みたいに。
聞くに耐えない訳ではないですが、一定量をこえた歪が付加された音は、飽きてくるんですよね。 何事にも限度、許せる範囲というのが存在するようです。
能率の低いヘッドホンを大音量で鳴らそうとすると、どうしても大きな振幅が必要ですので、低歪な領域の拡大は、結構なインパクトがあるのではないでしょうか。
上記リンク先に歪率カーブが載っているのですが、12V版の33Ω負荷で底を打っている電圧は約0.1V 出力にして 0.3mW。 15V版の33Ωでは、同様に0.15V、 0.68mW です。
つまり倍以上の音圧まで低歪で出力可能になっているのです。
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