オーディオ用リレー
オーディオ機器ではリレーをよく使います。 特に高級機では入力信号の切り替えにも使われたりすることが多々あります。
ところで、このリレーは何でも良いのかというと、そうではありません。
古いアンプの出力リレーが接点不良になるケースが非常に多いことは、年代の方々は体感的にわかっていると思いますが、その後バブルがはじけたくらいからのアンプは、以前ほどリレー不良がでていないということにお気づきでしょうか。
先輩に聞くとスピーカリレーは、リレーメーカに特殊仕様として作ってもらっていると。
一般品と何がちがっているのかというと、接点が両金張りになっているんだとか。 そういう特殊仕様になっていないリレーを使っていた時代があり、出荷から数年ほどで多量の接点不良がおきていて社内的にも問題になったそうです。
そうして、社内ルールでスピーカリレーには両金張り指定のリレーしか使ってはいけなくなったそうです。
実はリレーの接点には自己クリーニング機能が備わっています。 ある程度の電力の開閉を行なうときにはスパークが飛び散り、それで自己クリーニングされるのです。
ところが、オーディオで使うときには、殆ど電力がかかっていない状態で開閉するため、この自己クリーニングが効果を発揮しません。
自己クリーニングとは、接点の表面にできた酸化膜を火花で飛ばす作用のことで、大電流リレーでは、かならずある機能です。 ですから、少信号を切り替えるのに大電力リレーをつかってはいけません。 大は少を兼ねていないのです。
逆に少信号用のリレーは、酸化膜ができないような素材を使用し、さらにリレーケース自体をN2密封して酸化しないような構造としています。 この手の小信号リレーは派手にスパークを飛ばすような使い方をすると接点を傷めてしまいます。
ところで、スピーカリレーは大電流も流しつつ、開閉時にスパークも飛ばないというリレー界では異端的な使用方法のため、当時、特殊仕様として接点に金を使うように指定していたようです。 現在は、そういう仕様のものがラインナップされています。
※)かなりの荒療治ですが、スピーカリレーを自己クリーニングさせる方法があります。 それは、スピーカ出力にダミー抵抗(4.7~10Ω程度)を接続し、ある程度の出力が出るくらいの音量へセットして、電源のON/OFFを何度か繰り返すのです。
少なくとも電圧が10V以上無いとスパークしません。
そうすることで、リレー接点でスパークが飛び、自己クリーニングできます。
ただし、この方法、ちゃんとした過電流保護がついているアンプでのみ可能な方法です。 過電流保護があると、パワトラを飛ばさずに安全にスパークを飛ばすことができます。
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このページを読んで、自分がいかに馬鹿なことをしていたのかが、よくわかりました。
以前に、Pure Audio システムと AVシステムとのスピーカーを共用しようとして、パワーリレー(OMRON LY2Z)で切り替えるように自作したのですが、おおむね2年程度で、音が出なくなってしまっていました。
今使っているアンプにも、LY2Z(銀接点)のがあります。
いずれ駄目になると考えて、交換します。
投稿: nGuin | 2014年9月21日 (日) 09時44分
ですね。 リレーは消耗品という考えのほうが良いのかもしれません。 金張りタイプは一般には入手困難です。
投稿: たかじん | 2014年9月21日 (日) 17時29分