アーリー電圧とは
トランジスタのVce-Ic特性は右肩あがりの線が、ある1点に集まるような直線群をしています。この交点の(マイナス)電圧をVA、アーリー電圧といいます。
このアーリー電圧はどう時に役に立つのかといいますと、エミッタ接地回路での出力インピーダンスの計算や、能動負荷のゲインの計算に使用されます。
ただ、データーシートに載っていることが殆ど無く、Vce-Ic特性からおおよその電圧を直読するしか方法はありません。 大体のトランジスタでは200Vから50Vの間に入っています。
エミッタ接地の出力インピーダンスの式
VA + VCE
Zo = ---------------
IC
条件として VA=100 Vce=10V IC=1mA で計算すると
100 + 10
Zo = ------------- = 110k Ω
1m
コレクタ同士が向かい合った能動負荷の電圧増幅率の式
rπ
Av = - (--------)gm・RL
Rs+rπ
hfe
※ rπ = --------
gm
q
※ gm = (------) IC = 40・IC
kT
※ RL(負荷抵抗)が上のZo÷2(上下に2つのTRがあるので半分)に相当します。
これも条件を Ic=1mA、Rs=1kΩ、hfe=150 で計算しますと、
rπ 3.75k
Av = - (--------)gm・RL = ----------- ・40m・55k = 1737倍 = 64.8dB
Rs+rπ 1k+3.75k
同様に、高性能トランジスタを想定してアーリー電圧 VA=200、hfe=400で計算しなおすと、
rπ 10k
Av = - (--------)gm・RL = ----------- ・40m・105k = 3818倍 = 71.6dB
Rs+rπ 1k+10k
---------------------------------
負荷抵抗もあるので、ここから若干下がるため、
ざっくりコレクタ同士がぶつかっている増幅段は60dBほどのゲインがあるとだけ覚えておくと便利です。
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