差動回路の動作
例えば、右側の入力をGNDに落として、左側だけ信号を入力しますと、出力はシーソーのようにお互いの電流バランスをとって動作します。 左右の電流の合計は常に一定です。
ただし、多量のNFBがかかったごく普通のオペレーショナルアンプの場合で、20kHz以下という可聴帯域においてはこの絵のようにシーソーとイコールではありません。
なぜかといいますと、左右の入力にはほぼ同じ電圧が入力されるからです。
左から信号が入って、増幅された信号は出力部から右側の入力に分圧されて戻ってきます(=帰還)。
戻ってくるスピードは非常に速く、可聴帯域では時間差は殆ど無視できるほどの速度です。
そして、電流の合計は常に一定であるから、差動回路の出力には、殆ど振幅する電圧は現れません。 全くないわけではありません。 NFB分の1。 例えば60dB程度のNFBでは1/1000くらいは信号があります。
100mV入力なら、0.1mVという値。 ベースに入った信号はコレクタにゲイン倍されて出てくるとは限らないということです。
あとは、左側入力と右側入力との「差分信号」もコレクタに出てきます。 信号の差分=2段目以降の歪成分と遅延成分です。 このように考えると差動回路の動作がわかりやすいと思います。
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ついでですから関係のあるお話
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少しだけ高度な話になります。
初段の差動回路は多量のNFBで電圧増幅が抑えこまれているため、ミラー効果は殆ど無いです。 すなわちカスコードブートストラップを入れても高域の改善にはあまり効力を持ちません。 (位相補償容量が大きく、2段目以降の遅延が大きいときには効果はあります)
FETを初段に使っている場合は、ゲートリークを低い状態に保つためにVDSを10V以下にしなければならなく、仕方なくいれてあります。
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