エミッタ抵抗の効能
A1015/C1815フルディスクリートヘッドホンアンプもいよいよ大詰めです。
細かいチューニング作業を始めています。
さてさて、ここで設計時のミスが発覚しておりますので、下記に説明いたします。
初段の回路には少し大きめのエミッタ抵抗をいれていますが、これの効果はいくつかあります。
■hfe、Vbeのバラつき吸収
エミッタ抵抗により局部帰還がかかるためVbeのバラつきは殆ど
無視できる程になります。 またhfeのバラつきは増幅度につなが
りますが、ある程度のコレクタ電流(1mA以上)が流れていれば、
負荷抵抗とエミッタ抵抗の比率でゲインが決まってくるので、hfeの
バラつきも相当抑えられます。
トランジスタの同一ランク内の2倍程度の違いは、殆ど無視できる
ほどになります。
■歪の低減
エミッタ接地回路で増幅した波形の歪率はあまり良いものではあ
りません。 コレクタ電流や負荷抵抗、振幅にもよりますが、0.5%
から5%程度と波形が歪みます。
例えば1%程度の歪が発生していたとして、エミッタ抵抗による
自己帰還で20dBほど減衰させると 1/10の0.1%まで歪が減ります。
■ノイズの増加
ちょっと見落としていたのですが、雑音指数NFはエミッタ抵抗を入れると悪化します。
手元の資料によりますと、(特定のトランジスタ、特定条件での比較表)
エミッタ抵抗 NF
0Ω 4.3dB
10Ω 5.6dB
20Ω 6.8dB
50Ω 9.4dB
100Ω 12.4dB という具合です。
NFはアンプを通すとどれだけノイズが増加するのかという数値です。 数値が大きいとノイズが多い。
お分かり頂けましたでしょうか?
そうです。 S/Nが悪いのはC1815のせいではありません。 私が悪かったのです。
エミッタ抵抗を大きくしすぎていました。。。
出直してきます。
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