抵抗の定数の決め方
今回の回路の定数はどのように決めていったのか説明しておきます。
経験や勘をたよりに決めていく部分が多いですが、初心者~中級者に参考になればと思います。 あえて難しい計算をしないで、適当にやっています。 難しい計算をがんばってしたところで思った音がでる訳ではないからです。
回路は何度も登場していますが、もう一度載せておきます。
■初段の電流の決定
初段の差動回路の電流値は、S/N比を決定する重要なファクターです
ので、適当にとはいきません。
バイポーラトランジスタですと、だいたい0.5mAから2mA程度にします。
電流が小さいほうがS/Nが有利で、電流が大きい方がスルーレートが
高いです。 今回は1mA前後にしたいです。
■2段目の電流の決定
後段の駆動電流もかねるのと、発熱の具合から5mAとしました。
電源電圧・許容コレクタ損失からすると10mAがmaxと以前に計算した
ので、その半分です。
■抵抗値に反映する
初段の定電流回路から決めていきます。 VBEは、ほぼ0.6vなので
0.6V÷2mA=300Ω
初段の+-それぞれ1mAなので、合計2mAで計算します。
次に2段目は、同じく定電流部から引っぱっているのでVBE1つ分で
5mA 0.6V÷5mA=120Ω
上の部分も同様に120Ωにしておきます。
最後に初段の負荷抵抗。 2段目のベース電圧が+Vから1.2V下がっ
たところなので、1.2V÷1mA=1200Ω
手持ちの抵抗が1kΩしかないので、再計算してみます。
1.2V÷1kΩ=1.2mA
初段の電流は1.2mAに再設定します。 S/Nを気にしていないので、
若干高くてもよしとしています。
もちろん1.2kΩがあれば、それでよいです。 傾向としては、負荷
抵抗の値が高いほうがゲインが高くてリニアリティがよい。
電流も減ってS/Nもよくなります。 ただしスルーレートは落ちます。
初段のエミッタに入れてある抵抗は、hfeのバラつきの影響を抑える
働きがあります。 適当に100Ω前後入れたいのですが、2段目で
120Ωを使っているので、それに合わせます。
ここに抵抗を入れると初段の実質的なgmが低下し、入力インピー
ダンスが高くなり、ゲインが減ります。
入力インピーダンス高上とゲイン低下は、今回のヘッドホンアンプと
しては良い方向なので気にしません。
■最終段の抵抗値
前段のエミッタ抵抗は、出力インピーダンスの計算から、エミフォロ
1つで約200Ωでしたので、頑張って小さい値にする必要がありませ
んから10Ωにしています。
後段のベース・エミッタ間の抵抗は、決めかねています。 ここの抵抗
値が電流ブーストのかかり具合を左右するため、実験して決めて
いきたいです。
最後の1Ωは、前段の低インピーダンスを邪魔しない程度にしたかっ
たのでこの値です。 秋月で10Ωの下はいきなり1Ωなので選択の
余地がありませんでした(笑
バイアス部の抵抗は、アイドリング電流をみて決めます。 実験中は
半固定抵抗でもよいかもしれません。
値が決まったら固定抵抗に置き換えます。 そうしないと、半固定が
壊れたときに大きなアイドリング電流が流れてトランジスタを破壊し
てしまうからです。
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