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2012年8月 3日 (金)

デジタルボリュームとアナログボリューム

デジタルボリュームとアナログボリューム

名前だけ見るといかにもデジタルで処理したボリュームの方が性能が良さそうに思います。
では実態を見て行きましょう。

ここでは、分かりやすく表現するために、若干大げさな設定で比較していきます。

DACは16bitです。

   16bit DAC    2^16 = 65536ステップ   96dB

これが表現できる電圧のステップ数になります。 
ステップ数が少ないと階段状になり、ステップ数が多いと滑らかに波形を表現することができます。

8x_20k 16x_20k
 


■デジタルボリュームの場合のブロック図

           D-Data         D-Data  
  デジタルソース--->ボリューム---->
 
             10mV         50mV
        DAC---->HPA 5倍---->HEADPHONE 

  ※) D-Data:デジタルデータの略


■アナログボリュームの場合のブロック図

           D-Data      2.0V  
  デジタルソース--->DAC---->
 
                10mV         50mV
        ボリューム---->HPA 5倍---->HEADPHONE 
 
 

どちらも、ボリュームで必要な電圧に調整してヘッドホンへ届けることが出来ます。
ボリュームの減衰量は、2V÷10mV= 1/200倍です。 約-46dBです。

アナログの場合2Vの信号を10mVまでそのまま小さくすることができます。ステップ数も減りません
ボリュームを通った信号はインピーダンスが上がり、ノイズ混入やチャンネルセパレーション悪化などの悪影響があります。部品や配線の工夫などでその影響は無視できるほど小さく出来ます。 極小ボリュームだと接点(摺動子)に電流が沢山流れるとそこで歪が発生すると言われていますので、ある程度サイズの大きなボリュームが望ましいです。 16型程度が許せる最低ラインと思います。

デジタルの場合は96dBあるダイナミックレンジを-46dB減衰。つまり50dBまでダイナミックレンジが狭くなります。 ステップ数でいいますと、316ステップ。 bitに換算すると8.3bit程度

さすがに音声信号で300ステップというのは、粗さが目立って汚い音になることが想像できます。

      どちらのボリュームが良いか、一目瞭然ですね。
 

表現を分かりやすくするため、少し大げさな条件での比較となりましたが、30Ωのヘッドホンで50mVというと、0.1mWくらいになりますので能率が高めのヘッドホンなら普通に聞ける音量でもあります。 特に高精度なボリュームではなくても、16型(300円程度)ボリュームで十分に勝てます。

  
ちなみに、デジタルスケーリングされた音は、20bitDACで-1~-2dBの減衰でも、アンプやスピーカーの表現力が豊かだと音場が違ってくるのが認識できます。 

(このくらいでは劣化したというほどではありませんが、聞き分けられるということです。 )
 

Ws_dac
 
 
これはWolfsonのWM8711LというDAC-ICのブロック図なのですが、内部DACの後にアナログボリュームがあって、ヘッドホンドライバへと繋がっているのが分かります。 
この構成はデジタル領域で一切情報を欠落させず、DACをフルレンジで使用していて音量調整はアナログ領域で減衰さるという仕組みです。
DACメーカーもそれなりに考えて製品を作っていますね。   
 
やっぱりDACはフルレンジ使用が基本です。 たとえ20bitDACでも24bitDACでもです。
  
 
 



※正確な理論ダイナミックレンジは 6.02xbit数+1.78 [dB] です。 
  16bitの場合98dBとなります。
  この1.78dBというのは量子化ノイズ(ノコギリ波)の実効値です。
  上の説明では、量子化ノイズを除いて表現しています。



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電子回路」カテゴリの記事

コメント

>ちなみに、デジタルスケーリングされた音は、20bitDACで-1~-2dBの減衰でも、アンプやスピーカーの表現力が豊かだと音場が違ってくるのが認識できます。

では、(-1~-2dB)デジタルスケーリングされた音と、アナログにより(-1~-2dB)減衰した音を実際に比べた事がありますか?

私はあります。細心の注意を払って作った実験用アナログプリ・ATT、更には大枚はたいて超々高級プリアンプを導入したり、いろいろやりましたが(減衰量は-20~28dB)、「圧倒的に」デジタル式が高音質でした。

これらの実験から、アナログボリュームの限界は意外に低く、一般的に言われるデジタル式とアナログ式の比較論は現実的では無いと思います。

K.Kさん

おっしゃる通りですね。

デジタル処理は日々進化しており、デジタル領域でのスケーリングの方が劣化するとは言えないと思います。

私が試聴したのは、ずいぶん昔のことで、モデルはマランツのProject D-1です。 0dBとそれ以外(-1dBなど)とで音の印象がガラっと変わっていました。
後段のアンプの(アナログ)ボリュームを弄るまでもなく変化を感じました。

0dBでは鮮烈かつパワフルな「キレ」があるのに、スケーリングをかけた途端、やわらかく、まろやかになったと記憶しております。抵抗による(アナログ)ボリュームをちょっと回転させても、ああいう音の変化を感じたことはありません。

アキュフェーズやLUX、TAD、マッキン、Jeff、NAGRAなど、アナログ式を継続しているメーカーがありますが、アナログ式とデジタルスケーリングのどちらが良いかは、もう一概に言えないですね。

ここに書かれてるのはソースフォーマットの量子化ビット数とDACチップの量子化ビット数が同じであった、いにしえの16bit DACチップを使ったデジタルボリュームの話にすぎません。そら、16bitの信号を1bitでも削ればそれだけでDレンジは半分になってしまいます。
しかし、32bit DACチップの場合は16bit絞ってもCDフォーマットなら1bitたりとも情報欠落しませんよwww
さらに絞るとデジタルデータとしても情報欠落しますが、-96dB(-16bit)絞っても(DAC自身のアナログノイズを考えると)20dB程度ものDレンジは確保できるでしょうからCDフォーマットなら全く問題無しと考えます。
そもそも、
アナログ的に出力を絞ると出力インピーダンスが変化したり、電子ボリュームのようにゲインをいじるとフィードバックゲインが変化して音になんらかの変化が出るのを嫌う方がいますが、デジタルボリュームにおいてはそういう音の傾向が変わることは皆無なので、音量調整にはむしろこちらを積極的に使用すべきだと思いますね。

32bit以上のDACチップ使い、チップそのものにデジタルボリューム機能が搭載されてるのにも拘わらず、これを封印してるDACはもはや粗悪品です。自社製品の今は不用となったプリアンプを販売するための戦略なんでしょうwww

えんまさん

この記事は2012年当時の話ですね。

2009年に発表されたESS社のES9018SというDAC-ICが32bit入力、かつ、32bitデジタルボリュームを世界初で搭載してきました。

当時、24bitDACでも十分な変換性能を出せていなかったところに32bit入力の意味があるのか? と話題になっていました。

また、ES9018Sは8ch-DACなので、当初はAVアンプ用途程度にしか考えられていなかったのですが、2010~2011年頃に音の良さが認識されてきて徐々に高級オーディオにも採用され始めて風向きが変わってきました。

その後、各社のICに高分解能デジタルボリュームが搭載されていったのはご存知の通りです。

ただし、SPDIFやUSB接続では16bit分解能の通信が未だに残っているので、データ転送前に減衰させてしまうと(ソフトウェアボリューム使用)、やはりビット落ちは発生します。 デジタル=高性能 と短絡的に考えず、内容をよく理解しておく必要があるかもしれません。

まあ、非常に凝った構成のアナログボリュームを搭載している日本のメーカーの高級プリアンプの存在意義は、少々疑問に思わなくもありませんが、私のような人はターゲットにしていません。(されていません)

いやいやES9018の8chはパラでも使用可能ですが、初めから8ch出力を加算してSNを√8倍向上させることを目的にしたDACですよ。ちゃんと推奨回路例としてマニュアルにも記載されてます。
変換能力は上にも書きましたがレール2レールで±3.3Vしかなく、せいぜい120dBあたりが関の山で下位12dB程度はアナログ雑音で消えてしまうでしょうが、ソースが16bitであれば、16bit減じてもデジタル数値フォーマットとしては1bitたりとも消失することがないってのが意味があると申し上げているわけです。16bitソースであるなら16bitまでなら上に示されてるオシロ波形のようなステップ状の波形にはならない。
その後発売されたAKMやロームはみんなこの方式に右へならえですよね。

そら、
送り出し側がクロックレートも上げず16bit に固定してて、送り出し側でボリュームを絞ってしまえばそれは16bitより下のLSBは消失してしまうでしょうね。だからこそDACユニットでデジタルリューム機能を割愛したような製品は何らかの思わくをはらんだ製品だと申し上げているわけです。
16bit伝送データであっても32bit DAC側でデジタルボリューム機能があれば16bit減衰まではデジタルデータとしては1bitも消失することはありません。

日本のメーカーはアキュあたり、凝ったボリュームをアピールしてた時代もありましたが、20年ぐらいまえには電子ボリュームに乗り換えました。メジャーどころではスレッショルドがリレーでフィードバック抵抗を切り替えるタイプ、レビンソンがDAC応用、ジェフがCS3310、マッキン、海外のメジャーどころの様子見したあとアキュの順番でしたね。というかレーザートリミングした精密抵抗じゃなきゃバランスでCMR確保できるはずもなく当然のことですが、それまでのバランスプリはいったいナンだったんだという話ですわ。おそらくボリュームを経由せず最大振幅状態でしかCMR効果はなかったんじゃないでしょうか?
デジタルボリュームであればバランス時もほぼ理想のCMRを確保できるはずです。

各社電子ボリュームIC、アキュフェーズAVAA、ラックスマンLECUAはアナログボリュームですよ。正確にかくなら電子制御式アナログボリューム。

えんまさん

お詳しいですね。 ESS社のES9008(ES9018の前身)が出るまでは、多チャンネルDAC-ICは、AVアンプやDVD/BDプレーヤー(サラウンド出力)、Intel HD Audioの5.1chや7.1ch向けのみでした。

当然、DAC-ICを採用するオーディオメーカー各社の設計担当もその固定概念が出来上がっていて、高級オーディオに使うのは高級2chDAC-IC(アナデバやバーブラウン)が定石だったと思います。もしくはディスクリート構成。

それを覆したのはESS社の営業努力もあったのだと思います。かくして流れをガラッと変えたES9018は、もやは伝説のICと言っても良いでしょう。

上の記事で書いてあるWolfsonのチップもそうですが、ESSのES9218(ES9018よりも新しいチップ)でもDA変換後にアナログボリュームにて出力を可変しています。全ての状況において必ずデジタルボリュームが有利になる訳ではないという部分もあるかと思います。

どこかで書きましたが、デジタル領域で1dB減衰させただけで音質が激変したという経験もあります。悪名高いWindowsのカーネルミキサーによる減衰も似てますね。 試していませんがビットシフトによる-6dB刻みなら音質変化は少ないかもしれません。数値演算による変化が一切起きない減衰だからです。

いづれにしてもデジタルだから音質的な変化が起きない。どんな場面でも最良である。という一辺倒の思考ではなく、ケースバイケースでどういう構成が(コストを含めて)最良になるのかを考えなければいけないのだと思います。チャンネルセパレーションとギャングエラーに関してはデジタル信号処理の優れた面が出せていると思います。


とおりすがりさん

仰る通りです。昔よくあったリモコンでボリュームノブが回るタイプも電子制御式ボリュームのひとつですね。

カーボン、コンダクティブプラスチックと摺動子にて連続可変できるボリュームと、AnalogSWやRotarySW、リレーを使って固定抵抗、トランスの巻線を切換えるボリューム/ATTがありますが、制御を人力(回転)でやっても電子制御にしてもアナログボリュームであることには違いありません。

上で書いた「非常に凝った構成のアナログボリュームを搭載している日本のメーカーの高級プリアンプ・・・」ってのは、まさにアキュフェーズのAAVAのことです。 この回路は、VI変換、IV変換が途中に挿入されて非常に大規模な回路となって、アナログ信号をあそこまで引き回すのはどうかな? とも思いますが、実は、電流変換された信号は低インピーダンスで受けると電圧振幅がゼロになるため、AnalogSW通過時の歪を抑えることが可能という良い側面もあります。

そう言えば、レコーダーで有名なナグラの高級プリアンプではアルプスRK27のモーター駆動版を使っているんですよね。それであの音ですから大したものです。ボリュームだけでは音質は決まらないってことだろうなと思います。

>というかレーザートリミングした精密抵抗じゃなきゃバランスでCMR確保できるはずもなく当然のことですが、それまでのバランスプリはいったいナンだったんだという話ですわ。

バランス入力-バランス出力のプリアンプでも入力で同相除去するのが普通なんじゃないですか。ふつうは機器内はシングル信号でボリュームもステレオで2回路分。
差動シングル変換なんて余計な事をするのはピュアオーディオじゃないという人もいるかもしれませんけど、バランスはプロオーディオ寄りですから。

ダンベルカールさん

CMR -> CMRRのことだったのか。さすがの推測です。

確かに業務用機はXLRの入力部で同相ノイズを除去するためアンバランス化しますね。しかも高精度でもなんでもない古いプロセスのOPAMPが良く使われています。

どちらかというと、現場で壊れないことが正義。というのも必須要件ですからね。。。

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