出力段の設計(4)
前回は1段3パラですと出力インピーダンスが少し高かめということが分かりました。 今回は2段ダーリントンに するとどうなるか計算してみます。
トランジスタは2個ほど増えます。
回路はご覧のような形です。 これまでもそうでしたが抵抗の定数は仮の値ですす。 回路構成だけを見てください。
正確な抵抗値の計算は後日おこなおうと思っています。
では、早速2段ダーリントンでは出力インピーダンスがどの程度になっているのか計算してみましょう。
1段目のエミッタフォロア(ドライバー段)は、前回求めていたのと同じです。
Zo = (1 ÷(1+hfe))(Rs +(hfe÷gm))
条件として hfe = 100
IC = 5mA
gm = 40×IC = 0.2 S
Rs = 20kΩ
Zo = (1 ÷(1+100)(20k +(100÷0.2))= 0.0099 × 20.5k = 203 Ω
でした。 コンプリメンタリーなので上下で2つあります。
よって出力インピーダンスは
Zo = 203//(150+203)= 129 Ω
この抵抗値が2段目のRsとなりますから、2段目のエミッタフォロア(最終段)は同様に
条件として hfe = 100
IC = 10mA
gm = 40×IC = 0.4 S
Rs = 130 Ω
Zo = (1 ÷(1+100)(130 +(100÷0.4))= 0.0099 × 380 = 3.76 Ω
これとエミッタ抵抗の10Ωと足した13.7Ωが、3パラと上下で6個ありますので
13.7÷6 = 2.3Ω これが出力段の出力インピーダンスとなります。
エミッタフォロアの出力インピーダンス3.76Ωに対してエミッター抵抗が10Ωというのは高すぎる
と思います。 エミッタ抵抗を1~3Ω程度にすることで、もっと出力インピーダンスを下げられますね。
例えば、エミッタ抵抗を2.2Ωとすると、 3.76+2.2=5.96Ω ですから
5.96÷6 = 0.99Ω となります。
だらだらとつまらない計算にお付き合いしていただきました。 お疲れまさでした。
結果は、1段から2段にすることでエミッタフォロア回路1つあたりの出力インピーダンスは約200Ωから約4Ωへ と 劇的にさがりました。 やっぱり1段では足りていなかったようです。
ダーリントン構成の出力バッファの場合、次にように呼ぶことが多いです。
■2段ダーリントン
1段目 --> 2段目
(ドライバ段) (終段)
■3段ダーリントン
1段目 --> 2段目 --> 3段目
(プリドライバ段) (ドライバ段) (終段)
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