アンプのスイッチングノイズとは
アンプの出力段で発生するスイッチングノイズとは、このような波形のものです。
上のサイン波は素の波形で、下の波形は歪モニター波形です。
ちょうど振幅ゼロをまたぐときに発生するため、クロスオーバ歪み、またはゼロクロス歪みとも言います。
信号は10kHzや20kHzと高いほうが、振幅ゼロを超える時の速度が速く、発生しやすいです。
また、振幅が大きいときも同じ理由で発生しやすくなります。
純A級アンプのように、上下のトランジスタがスイッチしない(OFFにならない)出力段の場合は原理的に発生しません。
擬似A級でも、ノンスイッチングを実現できているアンプは発生しません。
発生の原理は、少数キャリアの蓄積により、ベース電流が途絶えても一定時間コレクタ電流が流れ続けて、
いきなり止まることから元波形にないノイズが発生します。
と文章で書いても理解は難しいかもしれません。 文章の表現力が乏しくてすみません。
音はと言いますと、高い方の音に付随して発生するというのと、大音量時に増えていくという特徴から
スイッチングノイズが多いアンプは、音がうるさく感じます。
つまり音量を上げにくいアンプとなります。
音量が小さいときはさほど問題ないのと、わずかにミキシングされるスイッチングノイズや高域の歪は、音に
切れ味や音の定位の鋭さ、高域が伸びているような印象などをもたらしますので、
一概に悪いとも言い切れません。
あまりに低歪にしすぎて音がつまらない、情報量が足りなく感じるという高級アンプも過去にはあったようです。
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コメント
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どうも名無しです。いつも参考になります。
ノイズ繋がりで別の話で恐縮ですが、手元のぺるけ式アンプの出力をWaveSpectraで録音してみたら、60Hzをピークに髭がたってました。
-110dB程度なので聴感上は聞き取れないほど小さな音量なのですが、これも対策するべきなのでしょうか?
ご意見いただけたら幸いです。
他の日記の話題になりますが、ClassAA回路挑戦されるんですね。
どんなレビューが出るのか今から期待して待っています。頑張ってください。
投稿: 名無し | 2012年7月 6日 (金) 18時00分
こんばんは。
60Hzというと、西日本では商用電源の周波数です。 東日本だと50Hz。 ようするにコンセントの周波数
です。 この周波数のノイズを「ハム」「ハムノイズ」と呼びます。
ハムノイズは、そうした理由からあちこちから飛び込んだり、拾ってきたりと、完全に消し去るのは
難しいノイズでもあります。
対策手順ですが、まず、それがアンプが原因で出ているのか、パソコン単体でも計測されている
のかを判別します。
できれば昼間、部屋の照明などつけていないときに行います。 また冷蔵庫が止まってるときの方が良いです。 エアコンも一時止めます。 ノートパソコンであればバッテリー駆動にしてみます。
その状態で、パソコンのライン出力からライン入力へと直結してWaveSpectraで観測してみます。
この時点で、60Hzが出ている可能性は低いと思いますが、60Hzがあれば、計測器側の問題ということで終了です。
計測器側にハムがなければ、今度はヘッドホンアンプを繋げて計測してみます。
アンプのボリュームを最小から最大まで回してみて、ボリュームがBカーブならセンター、Aカーブ
なら2時方向くらいで一番ハムが大きくなるのであれば、アンプ自体でハムを拾っています。
対策はボリュームからアンプの初段までのシールドを強化します。
またボリュームのGNDを、その場でシャーシーに落としてみます。 いままでシャーシに落としていた
所は浮かすか、そのまま2箇所落としが良いか、ハムが少ないほうを選択します。
ボリュームを囲むようにシールドするのも良い手です。
まあ、聞こえないほどのハムノイズであれば、あまり神経質にならなくても良いかもしれません。
私の作ったアンプなんて、シールド無しの木箱ですから・・・
classAA回路は、昔から興味はあったのですよ。
まさか自分が作ることになるとは考えもしませんでした。 この際ですから勉強がてらにやってみます。
あまり期待しないでお待ちください。
投稿: たかじん | 2012年7月 6日 (金) 21時10分