寄生発振の対策手法
寄生発振が出た時の対策は幾つかのパターンで対処可能です。
1.電源ラインの引き回しが無駄に長くないか、特にL分がないかチェックします。
デカップリングコンデンサーが遠い時は近くにして、配線を短く太くします。 また、+と-、GND線をよります。
2.最終段のベース抵抗を2倍づつ大きくしていきます。
最終段は、通常、1から2.2Ω程度と思いますが、それを2倍にします。
止まらなければ更に2倍という具合です。
ただし、10Ωを超えるくらいになると、音に透明感がなくなりモヤってきますので、バランスを考えて適当な所で寄生発振が完全に止まらなくても諦めます。
3.最終段だけで収まらなければドライバー段、プリドライバー段も同様にベース抵抗を2倍くらいづつ増やしてみます。
2.と同じ理由でドライバー段は最大47Ω、プリドライバー段は最大220Ωくらいにとどめておきます。
4.大きなベース抵抗の値じゃないと発振が止まらないときや、止まったけども、音がモヤって気に入らないときは、ベースとコレクタ間に33pFから220pF程度のコンデンサーを入れます。
こちらは3段ダーリントンでしたらプリドライバー段、2段ダーリントンでしたらドライバー段に入れます。 コンデンサーはフィルム系が音質への影響が少なくてよいと思います。 また上下へフルスイングするので耐圧に注意します。
5.同様にベース抵抗に並列に33pから220pF程度のコンデンサを入れてみる。
ベースへの配線L分をここで補正するかたちにする。 (位相遅れを補正する) 4とは全く逆のことをするのですが、どちらも効果があります。 音質的に好みな方を選べば良いと思います。
6.これだけやっても止まらないときは、トランジスターの選択を考えなおしたほうた良いかもしれません。
Cobの小さな高速トランジスターは、高周波まで増幅できる一方、発振しやすくなりますのでCobが小さければ良いと言うものでもありません。
回路構成や基板パターンがおかしくなければ、ほぼこれで止まると思います。 最終段トランジスタが昔のCANタイプを使用しているのであれば必然的に配線が伸びてしまうので、高周波特性は清く諦めたほうが良いと思います。
※パワートランジスタのベース抵抗は、事故が起きた時に発火する可能性があるので不燃性(難燃性)の抵抗を使用します。 主に酸化金属皮膜抵抗というヤツです。
※パワートランジスタのエミッター抵抗は、無誘導性抵抗を使用します。
位相遅れが生じにくいため発振しにくいです。
無誘導性の金属板セメント抵抗は、こんな形。 ツノ付きだとアイドリング電流を測りやすいです。
ちなみにトライパスTA2020のクリップ時の寄生発振のようなノイズは、1.の対策くらいしか出来ません。 デカップリングの電解にパラってフィルムコンデンサやOSコンの類をいれてインピーダンスを下げるというのも効果があるかもしれませんね。
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