HyCAAを通した波形は
さてさて、ここまでCDでは録音時にカットされてしまう20kHz以上の再生を試みる技術を紹介してきました。
なぜ、こんなことをしたかといいますと、実はHyCAAにもそういう能力があるのです。
いや、大げさな言い方ですみません。 非常に綺麗な2次歪みだけを加える特性があるのでちょっといたずらをしたかっただけです。
では、その実力を見てみましょう。
とある曲の冒頭約10秒を再生させてピークを表示してみました。
最近のPCのマザーボードにはDAC、ADCとも192kHzサンプリングまで対応したチップが付いているので20kHz以上の信号も一応見ることができます。 WaveSpectraというソフトを使いました。 便利ですね。
帯域外高域にノイズが乗っているのはPCだから諦めるとして、一応CD音源なので20kHzでスパッと切れているのが判ります。
いわゆるループバックという、Line-outからLine-inへ直結で測定しています。
思ったよりノイズフロアが低いのには驚きました。 PCマザー直結でのPCオーディオも考えてみる必要があるかもしれません。 USB-audioやSP-DIF経由でジッターが増えるよりマシな可能性もあるのか?
さてさて、同様にHyCAAを通した信号で捕らえますと。
Line-out -> HyCAA -> line-in で測定しました。 HyCAAのボリュームを回して、ループバックと同じレベルになるように調整しています。
50kHz、60kHz、70kHzあたりに見えるヒゲは、スイッチングアダプタのノイズです。 気にしないでください。
見事に20kHz以上もスペクトルが乗っていますね。
いかがでしょうか。 アナログ演算で20kHz以上の音を作り出す回路の実力は。
アナログ領域で帯域内の信号に付随して帯域外信号が作られるため、つながりが滑らかで違和感がありません。 また、3次や4次などとの高次高調波分の付加が少ないため、あまり刺激的な音質にならない点もよいのかもしれません。 20kHzまで入っている音源なら40kHzまで拡張。 15kHzまでなら30kHzまで拡張といった具合です。
デジタル信号処理のような人工的な高調波生成ではない自然さがいいのでしょうか。
※)ちなみに私は、一度失われた情報は二度と戻ってこないと考えています。 後から加えたものはあくまでも作り物。 そもそも20kHz以上が聞えているのかという話題は、また別の機会に書こうと思いますが、MP3などで15kHzくらいでカットしちゃっていて明らかにフン詰まりな音は、改善できる可能性があるのかもしれませんね。
HyCAAがその役目を果せるか否かは、聞いてみてください。 YAHAでも同じことが言えます。
原音に忠実 という意味ですが、
録音された信号に対して忠実である。 のか。
録音現場の音に忠実である。 のか。
どちらなのでしょう?
オーディオ機器としては、録音された信号に対してできるだけ忠実に再現するとこが第一目標。 と思っていました。
こうした、20kHz以上の音を再現する技術の謳い文句としては、録音(高域カット)される以前の音を再現することを目標にしているような表現をしています。
正直、どちらが良いのかよく分らなくなってきました。 ダウンロード購入したMP3やAAC音源は、そもそもすでに録音・ミキシングされた状態からかなり情報が欠落していますから・・・
聴きやすい心地よい音として、少し化粧するくらいの方が今の時代に合っているのかもしれません。
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