ダイヤモンドバッファの解析
数値的なものは、なるべく書かないようにしてきたのですが、ちゃんと説明するためにも欲しくなってきたので、
ざっくり計算してみることにしました。
この回路の入出力インピーダンスを計算してみましょう。
エミッタフォロアはコレクタ接地なので計算式はこちらで見ていただくとして、wikipediaコレクタ接地回路
■1段目の入力インピーダンス
Zin = rπ+(β0+1)RE これだと分かりにくい。
rπ=hfe/gm β0=hfe=100 gm=40 x Ic
動作条件 Ic=3mA RE=1.5kΩ で計算してみましょう。
Zin = 833+150K = 約150kΩ ですね。
上下で2つになりますが、初段の差動回路の負荷抵抗と比較して十分に軽い(抵抗値が高い)ので
悪影響はなさそうです。
■2段目の入力インピーダンス
計算式は、同様に
動作条件 Ic=20mA RE=30Ω で計算してみましょう。
Zin = 125+3k = 約3kΩ です。
こちらは、1段目の負荷1.5kに対して影響力はありますが、とりあえず気にしないでおきます。
気になる方は、1.5k//3k = 1kΩ で、もう一度、1段目の入力インピーダンスを再計算してみてください。
んまあ、hfeが150とか200とかになってしまえば、この抵抗値の違いは誤差のようなもの。
こいういう計算は、ばらつきの大きいhfeの影に隠れてしまうものと判かった時点でやめてしまって
大丈夫なんです。 抵抗も5%品をつかって全く問題の無い箇所といえます。
さてさて気になる出力インピーダンスの方を計算していきます。
■1段目の出力インピーダンス
Zout = (1/gm)+(Rg/β0)
gm=40 x Ic β0=hfe=100
動作条件 Rg=2.2k Ic=3mA で計算してみます。
Zout = 8.3+22 = 30.3Ω
なかなか低いですね。
■2段目の出力インピーダンス
動作条件 Rg=1.5k//(30.3+100)=120 Ic=20mA で計算してみます。
Zout = 1.25+1.2 = 2.45Ω
おお、これも結構低い値です。
コレクタ電流 Icを50mAへ増やした場合では
Zout = 0.5+1.2 = 1.7Ω
ここまできて、前回のダイヤモンドバッファは2段ダーリントンとしての駆動力はない
といったのはひどく言いすぎだったようです。
ベース電流を強制的に流しこめる回路ではないですが、十分に低いインピーダンスで出力できる回路です。
現在、この低インピーダンスを殺すようなエミッタ抵抗の値が入っていますので、まだまだチューニングの
余地があるということが判ってきました。 楽しみがまたひとつ増えた気がしてうれしいです。
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