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2012年6月30日 (土)

テクニクス ClassAA回路の実際

パワーアンプ用のclassAA回路は、非常に複雑、かつ高度な知識が必要とされるので、説明が簡単な、DACのポストフィルタ、バッファアンプ、ヘッドホンアンプ部の回路を見てみましょう。(パワーアンプ用とオペアンプ式classAA回路は、構成が異なります。)
 

オペアンプ式のclassAA回路は下図のような構成になっています。

Classaa_1_2

電圧を増幅している方を「V-amp」、電流供給の方を「C-amp」とします。

 

V-amp、C-ampのそれぞれの出力電流をI1、I2、最終出力をIoとすると、上の図のような式が成り立ちます。

どうして成り立つのかというのは、ホイートストンブリッジの原理が必要になります。

ちょっと図を拝借してまいりました。

Wheatstonebridge

 

このブリッジのD点、B点にオペアンプの+と-入力をつなぐと、その2点間の電圧がゼロになるようにA点の電圧を調整するようにオペアンプが動作します。

 

  これが、C-ampの動作の基本です。

 

classAAの回路図の10Ωの抵抗がV-ampとOUT端子の間に挟まっています。
この10Ωに電流が流れるような動作をすると、すかさずC-ampがA点を駆動してV-ampからの出力電流がゼロになるように動作します。

 

すなわち、この10ΩがV-ampの電流検出器として働いてC-ampからガンガン電流が供給されるわけです。

そうすることで、V-amp側は、常に負荷が軽い状態となり、電流を出す必要がありませんので、非直線成分の歪みの発生が抑えられますし、AB級の出力段もA級領域から出ることがなくスイッチングノイズは発生しません。

 

一方のC-amp側は、信号の電圧に関わらず、つねにホイートストンブリッジが安定になるように動作し続けます。 オペアンプで構成されたこのヘッドホン用classAA回路では、AB級の出力段がB級領域に入ることはあるでしょう。 そのときは歪が大きくなり、場合によってはスイッチングノイズも発生します。(殆どのオーディオ用オペアンプではスイッチングノイズはハッキリ見えるほど現れません。)

 

ところが、その歪はV-ampのNFBループ内にいるので、負荷が軽く余裕の動作のV-ampはその歪をキャンセルするような増幅ができますから、かなりの比率で歪やスイッチングノイズを押さえ込めるのです。

(ラインバッファとして使用しているときはC-ampもA級動作しているはずですので更に歪が少ない)


   負荷が軽く、余裕の動作で精密な電圧増幅ができているV-ampと
   負荷インピーダンス変動への対応など汚れ仕事を引き
   受けるC-ampの2重奏。 

 

ここが、同じようにオペアンプ2個を使っているA47式アンプ等の単純2パラ動作とは決定的に違うところです。

ちなみに、このブリッジの定数(33、10、3.3k、1k)は、テクニスクのclassAAのラインバッファや、DACのポストフィルタなどでも全く同じ定数が使われています。 classAAの黄金比と呼べるものなのかも知れません。

もちろんパワーアンプ用classAA回路では、ずっとずっと小さい抵抗値が使われていますし、C-amp側の電源をブートストラップやフローティングにして電流供給源として理想的な形にしています。

 

 

■まとめ

V-amp:電圧増幅のみ 電流は殆ど出力しない

C-amp:ブリッジに発生する電圧差をみて信号を増幅(電圧も電流も)

 

V-ampの出力段の負担を減らすのがC-ampの役目なんですよね。

 


 

このようなすばらしいアイデアを考えた方々に敬意の念を抱かざるをえません。
各社、各様、常に新しい技術を開発し、オーディオをもっとすばらしいものにすると確信していました。

ここまでオーディオは衰退してしまうなんて・・・  



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電子回路」カテゴリの記事

コメント

非常に興味深い回路で勉強になります。
オーディオは”現在に比べて極めて昔が劣っている”という事がない分野なので、
自作をする人は昔の市販回路から学ぶところは多いですよね。
(むしろディスコン部品が載ってたり、容赦無い物量投入を考えると場合によっては昔のほうが良いような気がする…)

車だと20年前の車なんか作ったら鼻で笑われちゃいますからねw

ぺるけ式の出力段をこちらで勧められている2SA1859/2SC4883にしようと通販で探してみたりしたのですが、なかなか見つからず。
音質的に”良い”と言われているものからディスコンになっていくオーディオの世界はあんまり明るい展望は見えないよなぁと思う今日この頃です。

脱線しましたが、ClassAA回路は原理的に素晴らしいと思うし、自作屋で作ってる人も見たことないので音に興味がありますね。
今は大学時代の教科書片手に勉強中なので、いつか回路が理解できるようになったら設計できたらいいなぁと思う次第です。(無理かもしれないけど(^^;)

20年前の車といえば、レビン、トレノ、MR2、セリカ、スターレット、シビック、インテグラ、NSX、シルビア、
180SX、スカイライン、パルサー、ランサー、ギャラン、レガシー、インプレッサ、RX-7、ビート、AZ-1、
カプチーノ、アルトワークス・・・  

今から思うと天国のようでしたね(笑


さてさて、件の2SA1859/2SC4883は、スイッチングノイズが酷いため必ずA級動作させ
る必要がありますし、エージングが済んだオリジナルの2SA1358/2SC3421には、
静かでお上品な質感の高い響きがありまして、今になって判断するならばオリジナルの
方が優れていると言わざるおえません。
ぺるけさんの狙っている音はこれなんだろうなと勝手に想像している次第でございます。


多少、下品になっても中低音の押し出しの強さを求めるのでありましたら、適当な価格で
おすそ分けいたします。

近日中だけ、ブログのメールアドレスを開放しますのでメールください。
メールはあまり頻繁にチェックしませんので、レスポンスが多少遅れるかもしれませんが、
よろしくお願いいたします。


また、トランジスタの基本動作については、ブログの記事に困ったら順次書いていこうかと
考えています。
とは言っても、エミッタ接地、コレクタ接地、ベース接地の3種類しかないんですが・・・

こんにちは

classAAのような回路はsandmanという人のclassSアンプが最初らしいです。

classAAについて調べるためオークションで入手した無線と実験のバックナンバーには
thresholdのstasisとQUADのcurrent dampingがもとになっていると解説されていました。

釈迦に説法だったかもしれません
ごめんなさい

bitstream さん はじめまして。


いえいえ、全然知りませんでした、ありがとうございます。
私もclassAA回路を調べているときにスレッショルドのstasis回路が元になっているという記事を見つけました。
ナカミチのアンプではstasisを使っているとのこともその時わかったのですが、stasis自体の回路
とclassAA回路はだいぶ様子が異なるようです。
おそらく発想というか思想は似ているのかもしれません。

class S回路は、今調べてみましたが、そのまんまという感じですね。 
http://my.safaribooksonline.com/9780750633567/the_sandman_class_s_system

情報ありがとうございます。 良い勉強になりました。 また何かありましたらよろしくお願いいたします。


たかじんさん、はじめまして。
久しぶりにヘッドホンアンプを作ろうかとネットを徘徊していまして偶然にここのページにたどり着きました。
以前、月刊AudioVideoと言う雑誌の1989年6月号にClassAA回路のヘッドホンアンプの製作記事があり製作しましたが、動作原理がイマイチ良くわかりませんでした。
今回、この説明を読ませていただきモヤモヤしたものが晴れました。
ありがとうございました。

michipooh さん

昔の雑誌に何度か製作記事が載ったらしいですね。 
当時からそれなりに注目を浴びていた回路ではあるのですが、
カタログなどにも、詳しい動作原理などが載っていなかったのが残念です。
電流供給アンプと電圧増幅アンプの2つが乗っているって事だけが強調
されていたように思います。

LTspiceで色々いじくっていると、20kHzで電圧アンプの電流がガバガバ流れて、波形が乱れるという現象が起きました。電流アンプを高速なオペアンプにすると波形が綺麗になりました。試しに電流アンプの電源を分離して1Vのノイズを乗せてもほぼ影響が出ず。これらは実際に組んでもそのような感じになるのでしょうか?

classCC さん

シミュレーションでNGな時は、実際に組んでもNGになる可能性が高いと思います。
シミュレーションでOKでも実際に組んだらダメだったという事も多々あります。

おっしゃる通り、低速でハイゲインなOPAMPはあまり良くないですね。
本当に低速なOPAMP(古いタイプ)は、高域ゲインも下がってくるので平気になるかもしれません。

ブリッジ回路について: 
表記の回路ではV Ampの出力がインピーダンスの低い10Ωに繋がっています。
C Ampの負荷直列抵抗は43Ω弱となっています。
この場合は、出力負荷に全電流の大半がV Ampから流れると思われます。
ブリッジの左右を入れ替えて、V Ampの負荷の直列抵抗を1kΩにすべきと思います。
更に、このブリッジの上下も反転して、V Ampの直列抵抗を3.3kΩにすべきと思います。
なお、上下の抵抗も同じ値にした方が良いと思います。
例えば、左上&左下: 3.3kΩ、右上&右下: 10Ω 等です。

N.Yasudaさん

おっしゃるとおり不思議な定数ですよね。 松下電器の設計は、みなこの定数が使われていました。
もし、私が設計するなら、もう少しC-AMP側からの電流供給を増やす定数にしていたと思います。

まあ、発振しやすい回路構成ですので、安定的な動作、音質的な動作を求めていたのかもしれません。
OPAMP式ではなくパワーアンプ(SE-A100)の方は、まともに動作させるのに、相当苦労されたんじゃないかと思います。

https://audio-heritage.jp/TECHNICS/amp/se-a100.html

N.Yasudaさん

これ、よくよく計算してみると実際にはよく出来た定数なんですよ。
Vアンプの方は、マイクロアンペア単位しか流れないので十分ですし、Cアンプの方も高抵抗による高電圧出力をこの定数で回避しています。

ちなみに、CアンプがクリップするとVアンプがそれを検知してVアンプから電流が出ることになります。
なので、高精度にオペアンプをパラレル化するという使い方も可能です。
(A47も似たような動作をしますが、ClassAAの方にくらべて歪がかなり大きいです)

シミュレート上ではCアンプの方は抵抗二本でいくらでも重ねることが出来るので、実装の難易度はわかりませんが、結構応用してみても面白い回路だと思います。

これを当時は現在のようなコンピュータも無い時代に設計したのですから、携わった技術者の方々はものすごい知識と技術を持っていたんだなあというのが分かります。

ゆんぽぽさん

おっしゃる通りですね。 10Ωが低い抵抗に見えても、そこに流れる電流を検出してCアンプが電流を加算していくように動作するので、Vアンプの負荷は非常に軽い。

上に書いてあるように、R1xR4=R2xR3が保たれていればVアンプの出力電流はゼロになります。

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