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« 擬似A級アンプと純A級アンプとの差 | トップページ | パワーアンプ基板よりも大きい超弩級ヘッドホンアンプ(3)回路の説明2 »

2019年9月29日 (日)

パワーアンプ基板よりも大きい超弩級ヘッドホンアンプ(2)回路の説明

今日は、先日、回路図を公開した新ヘッドホンアンプの回路説明をちらっとしてみようと思います。

Hpa1000_1

前作のフルディスクリートヘッドホンアンプHPA-12は、基板の周囲の省配線化を目指していて、1枚の基板に2ch分のアンプ回路+電源の整流回路+保護回路の全てを入れました。この基板1枚でヘッドホンアンプが完成します。

 

今は、頒布している基板が増えて、電源基板や保護基板が単体で存在しています。それらを流用することで、アンプ部だけを抜粋して作れるようになりました。

ということで、多少回路構成が大きくなっても
「思う存分やりたいことをやってしまおう」という考えた次第です。

 

 

前置きが長くなってしまいました。

では、本題に入ります。

 

Hpa1000b
    < 試作回路はこんな形 >

 

ベース回路は差動1段

差動2段回路は非の打ち所がない優秀な回路ですが、とても正確に動作するためカラーレーションが少ないのがネックです。
また、差動1段でも能動負荷を使ったいわゆるワイドラー式も多くのOPAMPで採用されているため、面白みに欠けますね(笑

せっかく作るのですから面白い回路にしたいですよね。
不純な動機ですみません。

昨年の春くらいは上下対称差動にしようと考えていました。ですが、これはソウルノートさんの回路に似てきてしまうので、敢えてやめました。加藤氏がA-2の回路の一部を公開していたりするのでパクったと思われたくなかったんです。

まあ、パクった、パクられた以前に、有用で安定動作する回路方式の殆どは、これまで世に出てきているので、オリジナル設計と本人が思っても誰か先人が作っていたりします。上下対称差動は70年代からアキュフェーズが使っていました。もっと前から採用していた会社もあるかもしれません。

個人的な意見としては、初段差動回路はシンプルに1組だけの方が澄んだ音がすると思っています。

 

 

1段目と2段目のつなぎ

先日も書きましたが、この回路のキモは2段目です。

 1段目の出力をどう2段目に伝えるのか?

 2段目をコンプリメンタリ動作にするにはどうするか?

2段目の負荷を定電流回路(能動負荷)にする事が多いのですが、せっかく1段目が差動で出力しているのに、片側を捨ててしまうのはもったいない。2段目のマイナス側に信号を伝える手段はないのか・・・ という望みに応える回路がカレントミラーです。

上側の負荷抵抗R9に流れる電流がそのままマイナス側のR14に現れます。

実は、カレントミラーで2段目に伝達する手法はサンスイが昔やっていました(笑

結局、パクリじゃん。何をどう構成しても先人がいるんですよ。

 

 

気を取り直して、続きです。

この回路には2つの欠点があります。

・1段目のコレクタ電位が、ダイオード接続したQ4のVbe分(約0.6V)異なるので、熱平衡が崩れてDCドリフトする可能性がある。

・ダイオードが負荷に入るため歪の増加も考えられる。

回路シミュレーションで歪の増加分を検証した結果、NFBループ内なので意外と平気なようでした。それにサンスイが製品に使っていた事も後押しして採用することにしました。DCドリフトに関しては後述するNFBで対処するつもりです。

まあ、でも、気持ち悪さはシミュレーションしても、有名なアンプに採用されていたとしても払拭できるものではありません。正直なところ、ここが「味」として効いてくれることを期待して心の葛藤を無理やり押さえています。。

0.6Vの電位差を埋める方法としては、初段にカスコードを追加する事で対処可能ですが、音の新鮮さが後退するので初段はシンプルにしたい。です。

 

 

2段目の構成

1段目の動作を邪魔しないように2段目をダーリントン接続にして入力インピーダンスを高めています。ついでにカスコードで、高域を伸ばしています。こちらは位相補償を少なくする(入手困難な小容量Cを使わない)ためでもあります。回路図にはC13,C14に10pFがありますが、実際には使っていません。念のためパターンを用意したかっただけです。

カスコードブートストラップにしなかったのは、バイアス生成用の電流を信号ラインに加算したくなかったためです。この方が潤沢な電流を流すことが可能になります。現在は5mAほど流していてLEDが超まぶしいです(笑

 

結果的に2段目は上下ともダーリントン接続+カスコードという豪勢な構成になりました。ここまで凝った2段目の採用例はあまり多くないと思います。

当然ながら2段目のカスコード回路にも欠点があります。

信号の振幅電圧が小さくなってしまいます。
今回は、電源電圧が±20Vある前提ですので、ヘッドホンアンプとしては多少振幅が減っても許容できます。

 

長くなってきたので、本日はここまでにします。

どんな回路にも利点と欠点が存在しますが、できるだけメリットの方を活かせるように回路を組んでいきたいですね。

 


ぺるけさんがトランジスタを湯水のように使ってしまうことに疑問を抱く。という旨をおっしゃっているのですが、たいへん耳が痛い話です。

シンプルな回路だからこそ出てくる音もある。と思います。

 

ともあれ、沢山トランジスタをぱらった出力バッファ段と、摩訶不思議なNFB回路については次回にいたします。

 

 

 

 

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コメント

初段ゲインが約2倍~1/6、もしや無帰還も検討されているのでは??

ダンベルカールさん

帰還量(オープンループゲイン)は増減できるようにしています。
おっしゃるとおり無帰還に設定することも可能かもしれませんね。
今は検討していません。

> せっかく作るのですから面白い回路にしたい
確かに、私もついつい普通の回路ではなく変わった回路のほうを作りたいと思ってしまいます。
1段目と2段目のつなぎをはじめ見たとき、どういう風に動作するのか疑問に思いました。解説していただき、自分でもシミュレーションしてみてようやくなんとなく理解しました。

写真の真ん中くらいの配線は、温度補償用TrをパワーTrに張り付けて熱結合するための延長用の線ですかね?

以前記事にあった最終段の熱暴走は収まったのでしょうか?
A950/C2120を使っていらっしゃるとのことで、気になったのは初段Tr Q1,Q2のベース抵抗がない点です。
C2120はCob=13pFとC2240(Cob=3pF)に比べて大きいので、コルピッツ発振を起こしていないでしょうか?
見当違いのことを言っていたらすみません。

sue18jp さん

初段はksc1845です。A950/C2120はQ27とQ28のリップルフィルタです。

差動回路のベース抵抗は入力側でR1ですね。帰還側は帰還抵抗がその役目をはたしているため、わざわざ別にいれるようなことは一般的にもしません。もちろんベースまでの距離をはなしちゃダメですよ。

熱暴走については続きの記事をご覧ください。

新しいHPAの着手されたみたいで今後が楽しみです。
ちなみに電源電圧は±なんボルトくらいなんでしょうか?
初段  差動
2段目 プシュプルエミッター接地
終段  2段ダーリントン 6パラにして実行gmを挙げてメジャーループ帰還無でも低歪狙い?
みたいな感じでのびやかで開放的な音質狙いでしょうか?

掲示板のほうに参考の回路図upしておきました。よけいなお世話でしたら
申し訳ありません。

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