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2015年3月22日 (日)

電圧レギュレータの種類と特徴 LDOとは何か

近年、低ノイズLDOが流行ってきていますが、とある方から、低ノイズなTPS7A4700(LDO)とLM317とを比べるとLM317の方が良く聞えるのはどうしてなのでしょうか?  とのメールを頂きました。  音質的な部分は、出力コンデンサの種類や容量、負荷までの配線の長さなど使い方にもよりますし、何より人の主観が入りますから一概には言えません。 

今日は、LDOと従来のレギュレータとの違いは一体どこにあるのかを紹介できたらと思います。 

Lm317

まず、LDOレギュレータのLDOとはロー・ドロップ・アウトの略で、ドロップアウト電圧が低いレギュレータをのことを指します。 

ドロップアウト電圧(ドロップ電圧)とは、定電圧化前の電圧と定電圧化後の電圧の差のことです。 

 

例えば、3.3Vの定電圧化をしようとしたとき、

Drop_2  

定電圧化前の電源が、緑色のような電圧だと目標とする3.3Vまで1Vしかないので通常レギュレータだと厳しく、LDOレギュレータは、ドロップ電圧が0.5V程度以上あればOKなので、安定化3.3Vを作ることができます。 通常レギュレータでは赤色の電圧くらいのドロップ電圧があればだいたい大丈夫です。  テスターで測った実効値の電圧では、どこまでリップルで落ち込んでいるのか分からないので注意が必要です。 

 

 

さてさて、ドロップ電圧が分かったところで、早速、スペックを比較してみましょう。

              TPS7A4700      LM317
ノイズ:          4.17uV      未記載(30-100uV)
出力電流:         1A          1.5A
出力電圧:       1.4-20.5V      1.2-37V
リップル除去率:     82dB         80dB
ドロップ電圧(1A時):  307mV        2.1V 
発売開始時期:      2012年     1980年代初頭 

 

どちらも可変型のリニアレギュレータです。 ドロップ型レギュレータと言ったり、単にドロッパと呼んだりもします。  スペックは、細かい部分で色々ありますが、大雑把にみるとノイズの量、ドロップ電圧、そして発売時期が大きな差です。

 

これだけ新しい技術が開発されてきた半導体製品のなかで最新レギュレータが、古いレギュレータに負けている部分があるとは思えませんね。 

 

内部回路を見てみましょう。 

■TPS7A4700のブロック図

Tps7a4700   

■LM317のブロック図

Lm317_2 

注目したいのは、出力トランジスタの向きです。 

  LDO型: コレクタ側で出力 

  従来型: エミッタ側で出力(しかもダーリントン) 

 

LM317の方を見てみると、NPNトランジスタでダーリントン接続されています。 ベース-エミッタ間電圧Vbeは約0.6Vというのはみなさんご存知かと思います。 それが2段ありますから、出力電圧より1.2Vほどドライブ電圧が高い必要があります。 このドライブ電圧のお陰で、ドロップ電圧は2Vほど必要になります。 

TPS7A4700の方はの最終段はPNPトランジスタが使われています。 この構成の場合、制御電圧は入力電圧より0.6V低くなります。  つまり、ドロップ電圧は出力段トランジスタのVce(sat)まで小さくできます。  LDO(ロー・ドロップ・アウト)レギュレータの名前の由来がココにあります。

ドロップ電圧が低いということは、入力電圧を下げることが可能ですから、結果的に低発熱・低消費電力にも結び付けらるメリットがあります。 近年の電源回路設計でリニア型ドロッパを使うときににLDOがよく使われる理由はそこにあります。

 

さてさて、ここからがオーディオ回路的電源の面白さが出てきます。 それぞれの出力インピーダンスを比較してみましょう。 負帰還抜きの素の特性です。

Ic=300mA 、hfe=100、VA=100、Rs=30k、Vce=3 くらいで計算してみます。

 

■エミッタ側のz-out

まずはドライバ段、 最終段hfe=が100 なのでIc=3mAで計算します。

      1       hfe
Zo = (-------) (Rs + --------)
    1 + hfe     gm

     1      100
  = ------ (30k + --------)= 305 Ω 
    101     0.12

ダーリントンなので、Rsを305Ω、Ic=300mAで終段を計算

     1      100
Zo = ------- (305 + --------)= 3.07 Ω
    101      20

 

■コレクタ側のz-out

     1   VA + VCE
Zo = ----- = -------------
    hoe    IC

    100 + 3
  = ------------ = 343 Ω
    300mA

 

100倍以上違いますね。 素の特性としてはコレクタ出力のLDOよりエミッタ出力の従来レギュレータの方が出力インピーダンスが低いということが分かりました。 

※電源の出力インピーダンスは低い方が望ましい。

80dB の帰還をかけることで両方とも十分に小さいインピーダンスになり、100倍の差は、ほぼ見えないと思うかもしれません。 

 

 

これは、例え話しです。

まっすぐ平らな道をまっすぐに走るぶんには車の直進性能はどうあれ、普通に走れます。 ところが、ワダチがあったり斜めったり左右交互に水たまりがある場合はどうでしょう。

直進性能の優れた車を、ドライバーがあまり手を貸すことなくまっすぐに走れる車。

直進安定度が悪いが、優れたドライバーの素早いハンドル捌きによってどうにかまっすぐ走っている車。 

そとから見るぶんには、どちらもまっすぐ走っているので違いがないように見えるが、実態には随分と差がある。 ワダチに振られたのを検知してハンドルを切って補正するより、そもそも振られにくい方が安定しているのは明らかです。 

 

じつは、電源の出力電流も同じようなものです。

電源の出力電流が一定な場合には、エミッタ出力とコレクタ出力とで違いは殆どありません。 ところが、電流が変動する場合、NFBで一生懸命補正しているコレクタ出力のLDOレギュレータと、元々低インピーダンスで補正が少なくて済むエミッタ出力の従来レギュレータ。 

 

  さて、電流変動(負荷変動)に強いレギュレータはどちらでしょう。 

 

オーディオ信号のように電流が時々刻々と変化するようなアプリケーションに向いているのはどちらでしょう。 バスドラムでビートを刻むような場合、とても複雑で瞬間的な電流変動が起こりえます。 

 

  答えは、見えてきましたか。 

 

ノイズも重要なファクターではありますが、出力インピーダンスも重要なファクターのひとつです。 どちらを重視するかは設計者次第。 

オーディオ用として、電圧レギュレータに求める性能は、ノイズの低さだけでは語れません。 オーディオメーカーが最新の低ノイズLDOをあまり使用しないのは、こういう理由があるのかもしれません。 

個人的な見解としては、LDOはPOL配置にて負荷の直近で使うのであれば真価を発揮できると思っています。  10cm(電流ループとしては往復なので20cm)とか配線延長で供給するのはNGとまでは言わないものの価値が半減してしまいます。 

 

 

 

 

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コメント

なるほどー !
レギュレータICは、ノイズレベル、リップル除去率ばかり、気にしていました。
詳しい理論はよくわかりませんが、例え話で、なんとなくわかります。(笑)
今度は、LM1117,AM1117を使って見ようかな ?
LM1117のデータシートを見ると、
Low-Dropout なんて書いてあるのでシロウトは迷いますが、
ブロック図を見るとLM317と同じ、エミッタ側が出力になっているから、
従来型ですね。
勉強になりました! ありがとうございました。

Hおじさん
じつは同じ従来型レギュレータの78xxシリーズはあまり評判がよくなかったりします。  単にインピーダンスの違いだけ、ノイズの量だけでは決定できないのがオーディオの難しいところなのかもしれません。 
たとえば、電解コンデンサの種類を変えただけでも音に変化を感じることができますが、計測して違いを見つけ出すのは殆ど不可能です。 (計測誤差の範囲でしかない)

あまりお金がかからない程度で色々と試してみると面白いと思います。

POLの重要さをあらためて理解する機会でした。
ありがとうございます。

ところで、LM317は可変レギュレータですが、78xx系以外でLM317相当の固定(?)レギュレータってあるんでしょうか?

mr_osamin さん

LM123あたりでしょうかね。 STマイクロ、TI、リニアテクノロジ、マキシムなどで調べると沢山でてくるとは思います。 

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