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2014年9月21日 (日)

トランジスタを飽和領域で使わない方が良い理由とは

トランジスタは、色々な使い方があります。

スイッチングさせて使うときは、思いっきりベース電流を流してVCEsatという飽和させた所で使います。その方がロス(VCExIcが損失=熱)を少なくできるからです。

しかし、アンプとしてリニアに増幅させるときは、そうしない方が良い。というお話です。

まず、Ic−VCE特性を見てみましょう。

Tr1 

 

2SC1815の特性図なのですが、コレクタ電流Icが大きい時(100mAとか200mA)の図となっていて、今ひとつ分かりにくいです。 

活性領域は、ベース電流IBが一定ならVCEによらず、Icが一定の電流になるところです。 通常、アンプで使うときは、この活性領域を使います。 ですが、上の図だとVCEが変わるとIcも変化しているように見えますね。 どこまで活性領域なのか不明確です。

 

もう少しアンプで使うような電流(1~10mAくらい)の特性が載っているトランジスタを見てみます。 下図は2SC1845というNECの小信号トランジスタのIc−VCE特性です。

Tr2  

活性領域のIB=10uAを見るとVCEによらず、ほぼIc=6mAとなっていますね。 これが意味するところは、6mA÷10uA=600  つまり、hfeが600であるということです。 

 VCE電圧に関係なく、ベース電流IB600倍のコレクタ電流Icが流れる。

この600という数値自体、hfeがバラつきの大きいパラメータなのであまり重要ではありません。 重要なのは、この特性が維持できているのはVCEに一定以上の電圧をかけた時だけであるという部分です。 IB=10uAの例でいうと、VCEが1.2V以上。 IB=16uAならVCEが1.7V以上のときにコレクタ電流がベース電流でコントロールできている領域なのです。

VCEがもっと低くなるとどうなるでしょうか。

すでに上図に書き込んでありますが、準飽和領域というhfeが極端に低下してくる領域に入ります。 さらにVCE電圧を下げると、飽和領域という、ほぼ、ベース電流の変化に応答しなくなるところまで到達してしまいます。 

言いかえると、VCEが低い電圧になるとhfeが低下し、本来の増幅ができていないということです。アンプとして動作させるのであれば、例えば、Ic=2mAや3mAならVCEは最低でも1V以上、若干の余裕をみるなら2V以上は欲しいです。

 

 

別の視点で見てみましょう。

Tr3

今度は、VCEが変化した時にhパラメータがどうなるのかを示した特性図です。注目したいのはhoeというパラメータです。hoeは、コレクタの出力インピーダンスの逆数を表しています。

よく見ると、hoeはVCE電圧が2V以下になると急上昇していますね。(※1) どういうことかと言いますと、VCEが2V以下の領域で使うとコレクタの出力インピーダンスが低くなるということです。 具体的にどんな不都合が発生するのかを説明すると影響力がわかると思います。

定電流回路や、カレントミラーの出力側は、コレクタ出力のインピーダンスがとても高いことを利用した回路です。 しかし、VCE電圧が低い(この例では2V以下)と急激にインピーダンスが下がって性能劣化してしまうということを意味します。

上の図のhoe特性から値を読んで、どのくらい変化(劣化)するか計算してみましょう。 ランクYで、VCEが3Vの時、2Vの時、1Vの時でそれぞれ出力インピーダンスを求めてみます。

 VCE=3Vのとき、hoe=11uS  出力インピーダンス=91kΩ
 VCE=2Vのとき、hoe=19uS  出力インピーダンス=53kΩ
 VCE=1Vのとき、hoe=280uS  出力インピーダンス=3.6kΩ 

それ以下の時はグラフすらありません。 VCEが0.5Vを想像すると少なくとも2000uSを超えそうです(=出力インピーダンス500Ωを下回る)

 

そして最後に、VCE電圧はCobの容量にも影響します。 Cobはコレクタ容量といって、ベース−コレクタ間の容量です。 これは増幅動作するときにミラー効果で容量がゲイン倍されるので実容量以上に影響があります。VCEが低いとCobは増えて増幅帯域を狭くします。

 

■まとめ 

1.VCEが2V以下になると電流増幅率が極端に低下しはじめる。

2.VCEが2V以下になると出力インピーダンスが低下して定電流特性が劣化する。

3.VCEが低いとCobが増えて増幅帯域が狭くなってくる。

ということで、アンプとして使うときはトランジスタのVCE電圧に気をつけましょう。 特別な理由・意図がない限り、飽和領域では使わない方が良いでしょう。 

Tr5 

上では2V以下と書きましたが、実際にはデバイス依存があって製品によって1Vから2Vあたりで変化が急激になってきます。 VCEが1Vを少し切る電圧でも所定の特性を得ることは、卓越した回路設計と使用デバイスを慎重に選定することで不可能ではないと思います。 ですが、そこで無駄な苦労をするくらいなら、最初から飽和領域近くで使用しない方が得策です。 

 

 

 

※1) hreというパラメータもVCEが2V以下で急激な変化があります。が、このパラメータがアンプとして使った時に、どう影響するのかという部分は、書籍で良い文章を発見していません。どなたかご存知でしたらお願いします。 

 

 

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