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2013年12月 4日 (水)

SiCシリコンカーバイト最新技術動向

いよいよ盛り上がりを見せてきたSiCシリコンカーバイトについてまとめてみました。

2013年秋冬の最新情報です。

Sic_wafer

(SiCシリコンカーバイトのインゴット/産総研)

 

■SiCの特徴

以前、SiCのSBDのVf(順方向電圧)についてまとめました。

SiCとはシリコンカーバイトといいまして、通常のシリコンとは違います。

従来の半導体の代表、シリコンと比べ、絶縁破壊強度で10倍、熱伝導率は3倍、電子飽和速度が2倍と優れています。 これにより、トランジスタやダイオードとした場合、オン抵抗が低い。 高温まで動作。 高速動作。 という面で優れた性能を発揮します。

Vfがシリコンのショットキーバリアダイオード(SBD)に比べると若干高いものの、絶縁性能が高いのと、スイッチング速度がとても速いので、高電圧のスイッチング電源に使用すると、ロスが少なくなります。 従来、シリコンでは高耐圧のSBDを作ることができなかったので通常ダイオードからSiC-SBDへの置き換えとなり、電圧が高い電源やコンバータで特にに期待されています。

また、ハイブリッド自動車などでは、SiCの耐熱性の高さ(175度で動作可)から、インバーターの冷却がエンジンの冷却水と共用出来るようになるので、自動車メーカーからも注目されています。 

Mitsubishi

三菱が試作したSiC-SBD(4インチウエハー)

もともとシリコンでも高効率化が進められているAC-DC電源やDC-DC電源でも、SiCを使うことでスイッチング速度を上げられるというメリットもあります。 スイッチング速度が上がるとコイルやコンデンサの大きさが小さくなりますから、より小型化が可能になります。

 

■SiCの採用事例

このSiC-SBDが使われた世界初の製品は、三菱エアコン霧ヶ峰ムーブアイのハイエンド機種です。

室外機のインバーター部に使用されて、約15%の損失を低減したとあります。

SiC-SBDももちろん三菱製。 インバーターのトランジスタ(IGBTやMOS-FET)ではなく、SBDに使用しただけで15%も損失を低減するというのは、いかに優れた特性をしているか想像できますね。 素晴らしいです。

Mitsubishi2

(霧ヶ峰の室外機基板)

 
 

そして、三菱は鉄道車両向けにもSiCを使ったパワー素子を採用しました。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20111003/198900/

先と同様にシリコンのIGBTにSiC-SBDを組み合わせたモジュールです。
こちらも、鉄道向けインバータ装置として世界初です。 東京メトロの銀座線の車両です。
こちらはなんと車両全体として電力損失を30%削減できるとのこと。モーター単体の損失では40%削減になるらしいです。 特に回生能力の向上が大きいとのこと。 半端ないですね。

Mitsubishi3

(SiCが採用された東京メトロ車両)   

 

このように、SiC-SBDは完全に実用化の時代に入りました。

 

次に各社しのぎを削っているのはSiCのトランジスタです。

SiCの高耐圧のメリットを活かせるのはIGBTとMOSFETですが、現在のところは1.7kV程度の中耐圧系ではMOSの方が優勢の様子。 10kV以上の高耐圧クラスではIGBTが有力で、アメリカの軍事関連で研究されているらしいですが詳細は不明です。 

実際に量産できているのは、パワー系としては電流が少ないMOSFETとJFET。 そして、素子はNchだけで、Pchのデバイスは発表すら見たことがありません。

これらSiCトランジスタは、実際の機器・装置に採用されたという記事は見つかりませんが、生産予定、生産開始という情報がいくつか出てきていますので、下記にまとめます。

 

 

■ウエハーの量産

SiCウエハーは米Cree社、米Dow Corning社、ドイツSiCrystal社、新日本製鐵、新日鉄マテリアルズなどが製品化している。 まだまだ、主流は4インチで、今年に入ってから6インチが量産し始めたところ。 

 

 

■SiCデバイスの量産・計画

○ 三菱電機  SiC-SBD 量産中  SiC-IGBTモジュール サンプル出荷中?

量産採用事例がある唯一のメーカ。 まずは自社向けのデバイスとして生産か。

 

 

○ ローム SiC-SBD 量産中  SiC-MOSFET 量産開始  フルSiCモジュール量産開始

ロームは、内蔵する全てのパワー半導体素子の材料にSiC(シリコンカーバイド)を採用した「フルSiCパワーモジュール」の量産を開始すると発表した。「フルSiCパワーモジュールの量産は業界初」(同社)という。

http://eetimes.jp/ee/articles/1203/27/news050.html

http://www.rohm.co.jp/web/japan/news-detail?news-title=2012-12-12_news&defaultGroupId=false

 

 

○ 東芝  SiC-SBD 生産予定

当社は、産業機器・車載機器向けに需要拡大が見込まれるパワー半導体分野において、シリコンカーバイド(SiC)を採用した製品を今月末(2013/3)から姫路半導体工場で量産を開始します。

http://www.semicon.toshiba.co.jp/profile/news/newsrelease/topics_130319_j_1.html

 
 

○ 新日本無線  SiC-SBD 生産開始  SiC-MOSFET 生産予定

なぜか、オーディオ専用SiCダイオードを生産開始 
http://www.njr.co.jp/products/semi_2011/BEWITH_BD01.html

その後、MUSESシリーズとして発表しています。 
http://www.njr.co.jp/products/press2013/MUSES7001.html

また、MOSFETはデンソーからライセンス供給を受けて来年から製造するらしい。

Muses7001
 

 

○ 富士電機 SiC-IGBT モジュール 発表

All-SiC モジュール技術  
http://www.fujielectric.co.jp/about/company/gihou_2012/pdf/85-06/FEJ-85-06-403-2012a.pdf

 

○ パナソニック SiC-MOSFET 発表

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20130522/283106/

 

○ Cree SiC-SBD 量産中 SiC-MOSFET 量産中

SiCウエハの最大手。 SBDにつづき MOSFETも量産。 既に2ndGENERATION。

 

○ インフィニオン SiC-SBD量産中 SiC-JFETサンプル出荷中?

ノーマリーONのデバイスなので、Pch-MOSFETとの組み合わせを推奨している。

http://www.infineon.com/cms/jp/product/discretes-and-standard-products/coolsic-tm-sic-jfet/channel.html?channel=db3a3043372d5cc801377a322ac7554c

やはり、パワー系デバイスではノーマリーONは使いにくい。 専用のドライバICを
用意して挑んでいるが、どうなのでしょうか。 

 

○ STマイクロ  SiC-SBD量産中 SiC-MOSFETサンプル出荷中

http://www.st-japan.co.jp/web/jp/catalog/sense_power/FM100/CL2062/SC1704

 

○ フェアチャイルド  SiC-BJT サンプル出荷中

唯一、SiCでバイポーラトランジスタを作るフェアチャイルド。 ON抵抗の低さはバイポーラならではの特徴です。 1200V耐圧で17mΩという低さはMOSやIGBTでは到達できていません。 また動作温度が250℃という驚異の耐熱性も実現しています。 

http://www.fairchildsemi.co.jp/product-technology/sic-bjts/

 

○ SemiSouth  SiC-JFET 量産開始

耐圧650Vと耐圧1700VのSiC製JFET製品を発表した。 いずれもノーマリー・オン型のパワー素子である

 

 

 

■SiCの死角

メリットばかりが紹介されていますが、SiCに死角はないのでしょうか。

実は、価格が非常に高い。 単に製造の数量が少ないので価格が高い訳ではありません。 これはウエハーの製造がシリコンに比べて遥かに難しい点に端を発しています。 そして将来的にもシリコンインゴットのように山ほど製造ができるものではないとの話もあります。 

そもそもシリコンのように巨大なインゴットが作れない。
ここ1年くらいでやっと6インチ(150mm)が製造されるようになってきたところなのです。 
シリコンは、200mm、300mmと大きくなっていて、近い将来450mmにしようという動きもあります。

とは言っても、ここ数年でSiCに参入するメーカが一気に増えたのは、SiCウエハが以前よりは安くなってきて、製品化した時のメリットがデメリット(高価)を上回る見込みがでてきたからでしょう。

 

特性として、一番マズイ点はゲートのスレッショルド電圧が変化してしまうことです。

通常、MOSでもIGBTでも、ON/OFFするための制御端子(ゲート)に印加する電圧は一定です。 それはゲートの閾値が変わらないからです。

この閾値が時間と共に変わってしまうと、制御のしようがありません。 閾値は当初は5~6Vあるものが、劣化で2Vくらいまで下がってしまう現象があるらしいです。 最悪のケースはノーマリーON化まで劣化する。 webで検索すると逆に閾値が上がってしまう現象もあるのだとか。 

 

これはロームの公表している資料ですが、ハッキリと書いてあります。

そして、ロームだけの問題ではなく、他社のSiCデバイス共通の問題点で、学会でもこの閾値変化問題をいかにして解決していくかが話題になっているとのこと。

Rohmsic

この閾値問題の為か、価格の為か、いまだSiC-MOSや SiC-IGBTが市場製品に使われたというニュースは一件もありません。 SiCが使われたというのは、単体のSiC SBD、シリコンIGBT+SiC-SBDの組合わせモジュールなのです。

Sicmod

 

 

「ガリナイ」ことガリウムナイトライド GaNもSiCと同様に注目の新半導体です。

こちらはまた別途調査を進めようとと思います。 現在のところシリコンウエハー上に結晶成膜して製造するので、SiCよりは安価になる見込みのようです。

しかし GaNは、Current collapseという特性劣化が指摘されています。

Sic_igbt

(GaNの特性劣化のイメージ)

こんなに特性が変わってしまうと、使えないですね・・・

 

■SiCインゴット製造の難しさ

シリコンSiのインゴットは、純度の高い多結晶のSiをルツボで溶かし(約1420℃)、単結晶の種にくっつけて回転させながら引き上げることで単結晶のインゴットができます。
http://www.sumcosi.com/products/process/step_01.html

ところが、シリコンカーバイトSiCは、Siのように溶融してインゴットは製造できません。 SiC粉末などを約2200℃で蒸発させ、SiC種へ再結晶させて作ります。 昇華法というようです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20131203/pr20131203.html

Siと違い、現在のところ欠陥が多く含まれる。 このウエハーを使って作るデバイスは当然ですが歩留まりが悪くなる。  新日本製鐵のウエハーではマイクロパイプという中空貫通欠陥が1平方センチメートルあたり1個以下という品質の高さを実現し、先行独占している米Creeと同等の水準になったと発表していることから、その欠陥の多さが覗える。

シリコンウエハーは、300mmウエハー内で1個も欠陥がない、いわゆる無欠陥ウエハーが求められている時代です。

 

 

新世代の半導体の船出は、なかなか思うようには行っていないようです。 

特性上、シリコンにはない良さもあるので、今後の展開から目が離せないです。

 

 

 

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コメント

たかじんさん、こんにちは
最近調べて無かったので分かりませんでしたが、
SiCって結構出回ってるんですね。

閾値問題はなんかフラッシュメモリみたいになってますね。

あといつも思うんですが損失を○%低減したってありますが、
例えば効率98%から99%になったら、損失は50%低減になってしまいます。多少数字のマジックがあるように感じます。

個人的にはGaNに期待していて二次元電子ガスで
ノーマリオフが出てきたら喜びます。本命はダイヤモンドですが

エリーさん

記事では書きませんでしたが、価格が高い理由に歩留まりの低さもあります。
それは、インゴットの生産時も、デバイスの生産時も歩留まりが悪いらしく、
性能の高さより価格の高さの方が上回っている状況です。

三菱が量産機に採用したのは、技術力の高さを宣伝する目的があってのことだと
思います。 三菱だけが歩留まりが高くできる技術を持っているのかどうか、明確な
情報は見たことがないので何とも分かりません。

数字マジックは、その通りですね。
ただ、シリコンダイオードからSiC-SBDだと、逆回復時間が大幅に改善するのは
確かですから600V以上では効果は高いと思われます。 


GaNとSiCは、完全に競合する訳ではなく、より高周波にはGaNが向くようで、一応
住み分けができるような記事をどこかで見かけました。

たかじんさん


もしかして・・・
セミコンに行かれたのでしょうか?

私は、、学会が近いので、厳しいです。

若輩者さん

セミコンは行ったことないですね。 
展示会で面白いのはCERTECか、ETですかね。 InterBEEも行ってみたいです。
あとは楽器フェアはなかなか面白かった。
東京モーターショーに一眼もって行くとカメラ小僧になれます(笑

近年は、どれにも足を運んでいません・・・ 

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