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2012年10月13日 (土)

ミュート用トランジスタって

オーディオ機器の信号の出力部にはポップノイズを低減するためにトランジスタを使ってミュートすることがあります。 高級機ではリレーを使うのですが、やはりコストが問題ですし、接点不良もおきます。

ライン出力端子やヘッドホン出力端子ですと、ミュート用トランジスタ(以降ミュートTR)で気になるポップノイズを落とすことが出来ます。

 

別にミュートTRではなくてもVsat の小さいトランジスタであれば良さそうなものですが、何が違うのでしょうか?

 

Mutetr 

これが、東芝の2SC2878というミュートTRのデータシートです。

 

Vsatが特別に小さいわけでもありません(笑

リバースhFEが高いとも書いてありますが、一番特徴的なのは Veboの高さです。

通常のトランジスタだと5V程度の表記になっていて、実際にそれ以上の電圧を加えると大体7~10V程度でブレークダウンしてしまいます。


Veboとは、電圧をエミッタからベース側へかけたときの耐圧です。 つまりVbeの逆耐圧がどの程度あるのかを表しています。

 

Mute1


Veboが高いというのがどういう意味があるのか説明する前にこんな回路でミュートを考えてみましょう。

信号に直列に入っている抵抗とVsat(というかON抵抗)の比率で信号が減衰します。
一見、これで良さそうに見えますが、ミュート回路としては不完全です。

いや、ミュートはするんです。 しかし、通常の信号の方に悪影響が出てしまいます。

デジタル機器からの出力は最大で2Vrmsほどあります。 信号のピーク値は1.41倍の2.8Vになります。 ミュートを掛けていない時には、信号がマイナス側にも振れるのですが、上の回路図だと-0.6V以下でベースからコレクタへと電流が流れてしまいます。NPNですから、ね。

 

ベースが0Vで、コレクタが-0.6Vでダイオードと同じで電流が流れ始めます。 電流が流れ始めるとそこで電圧リミッタとなり、音声は歪んでしまいます。

 

Mute2

 

 

こうすると信号がマイナス側へ振れてもトランジスタがが不用意にONしなくなります。
回路図では都合上±10Vと書いていますが、オペアンプで使用している電圧の±12Vや±15Vで問題ありません。


さて。 ここでお気付きの方は、かなり鋭いです。

この回路、エミッタ-ベース電圧が5Vを超えているので普通のトランジスタですとブレークダウンしてしまいます。 やっとVeboが高いミュート用TRの意味が出てきました。

 

でも、まだツメが甘いです。 さらに一歩進めます。 

実は、エミッタをGNDに接続せず、コレクタをGNDに接続した方が良いのです。 

Mute3  

 

 

これは不思議ですね。 私も疑っていました。 ベース電流がエミッタ側へ流れて信号へDCが乗ってしまうのではと。 結局NPNトランジスタですので、ベースから見てエミッタもコレクタも同様にPN接合ですから、電流はベースからコレクタへと流れます。

 

トランジスタの内部構造にはあまり詳しくないのですが、ベース・エミッタ間よりベース・コレクタ間の方が面積が広く、エミッタをGNDへ接続しているよりコレクタをGNDへ接続している方がON抵抗が少なくなりミュートするには都合がよいらしいです。 ベース電流の漏れによるオフセット電圧の発生が低くなるらしいです。 

また、ベース電流の流しすぎは信号側へオフセットを増大させてしまうため、ON抵抗(ミュート減衰量)とのバランスを取らなければなりません。 ベース電流は、0.1~2mA程度にしておくのが無難なようです。 

ベース駆動はロジックから直接行なうとONの瞬間、OFFの瞬間の鋭い波形が信号へと漏れて「パチっ」と聞えてしまいますので、適当にコンデンサでなまらせてあげます。 こちらはミュートタイミング(応答速度)とのバランス取りが必要になってきます。

 

Npn

ミュートTRではリバースhFEが高く作られていて、リバース使用しても十分に少ないベース電流で低いON抵抗が得られるように作られています。  

ミュート用トランジスタって通常のトランジスタと違う側面があって面白いです。

 

 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

昔のことで忘れかけておりますが、昔のトランジスタ技術に記事がありました。
コレクタとエミッタを交換するのは直流漏れ電圧の方ではなかったかなと思います。
ベースに電圧を加えるとコレクタ側に直流電圧が漏れてきて出力側に出てしまうという事でなかったかなーと思うのですが、この電圧がコレクタとエミッタを交換すると減るという記事です。

図ミュート・トランジスタのベース直列に入っている2200Ωにツェナーダイオードを追加すると特性が改善されます。ただしコントロール電圧が高くいるというおまけがつきます。470Ωの抵抗部分を大きくするとミュート量は増えますが、音が悪くなるとも言われておりました。

YandH さん

貴重な情報ありがとうございます。
ベース電流の流れる量がコレクタとエミッタで違うのですね。 ロームのミュート用TRのデータシート上では、hfeも飽和電圧も、逆さ使用で殆ど差がありません。 どちらに使っても支障が無いくらいって思っていました。

ツェナーをベースに入れるというのは、どういう原理なのでしょうか。 ベース電圧をプラスとマイナスに振る時に違う電圧にするということでしょうか。 
On抵抗とベース電流には密接な関係があるので、減衰量を重視するとベース電流を沢山流すか、信号源の抵抗値を大きくするしかないというジレンマが発生しますね。 信号へ入れる抵抗値と音質に関してはおっしゃる通りと思います。 
そもそも、ミュートTRを入れると音が悪くなるなんて言われたりして、高級機ではほぼリレーですよね。
LINNなんかは数十万円の機器でもミュートTR使っていることがあるようですが。。。

1)ツェナーをベースに入れるというのは、どういう原理なのでしょうか。

一番上の回路図でミュート・トランジスタのベースと2200Ωの間にツェナーダイオードを追加、ツェナーダイオードはトランジスタ・ベース側にカソード、抵抗側にアノードの向き入れます。

ミュートを掛けていない時には、信号がマイナス側にも振れるのですが、上の回路図だと-0.6V以下でベースからコレクタへと電流が流れてしまいます。NPNですから、ね。ベースが0Vで、コレクタが-0.6Vでダイオードと同じで電流が流れ始めます。電流が流れ始めるとそこで電圧リミッタとなり、音声は歪んでしまいます。

この電流の流れをツェナーダイオードで遮断します。見かけ上トランジスタのベースが浮いている状態にします。そこで行き場を失った漏れ電流はベース、エミッタ間に流れるように見えますが、ベース・エミッタ間は逆バイアスのために導通しません。Veboが5Vの場合、コレクタ電位が-0.6V-5V=-5.6V以下になると導通が始まります。そのあとは上に説明されてたとおりです。

この場合、コントロール信号はプラスとグランドの間でよいです。


2)On抵抗とベース電流には密接な関係があるので、減衰量を重視するとベース電流を沢山流すか、信号源の抵抗値を大きくするしかないというジレンマが発生しますね。

ベース電流をたくさん流してもOn抵抗はあまり下がりません。大体1Ωぐらいだったかなーと思います。

黒田徹氏がこのときのオフセットの違いについて著書のはじめてのトランジスタ回路設計などに解説をのせているみたいです。
YandHさんのいうトラ技はこの本の元になった黒田氏のトラ技の連載かもしれません。

氏のもっと古いラジ技のDACの製作記事にもかんたんな解説が載っていました。
参考文献として戸室晃一氏のトランジスタ直流増幅器という本をあげていたので
詳細はこの本をあたれば載っていると思います。
はじめてのトランジスタ回路設計の見本の参考文献にもこの本がありました。

YandH さん
henさん

なるほど 「ツェナーダイオードを追加すると特性が改善」 と書いてあったので、
On抵抗やノイズ、cob容量、出力オフセット電圧など何か特性が改善するのかと勘違いしてしまいました。 

ドライブ電圧が片電源でOKとなるのはメリットありますね。 実際にそういう使い方をしているのを見たことはありませんでした。 

そうそう、ベース電流の件は、詳しく書かなくてすみませんでした。 通常、増幅用として使っているようなベース電流数uA~10uA程度だとON抵抗は10~100Ωと高く、減衰量はあまり大きくない。 かといって、1mAくらい大量にベース電流を流すとそれ以上はあまり変化しなくなりますね。 おっしゃる通り1Ωくらいが限度と思います。

ときどき、ミュートTRを2段にしているものもありますね。 

前回の方法は昔のSONYカセットデッキTC2250SDとかで使われた方式です。回路図は雑誌で見たことがあります。(昔は雑誌に回路図が良くのっていたものです。)雑誌から見て、あの時期のSONYカセットデッキにはこの方式が良く使われていたらしいです。

前回に似たような回路にツェナーダイオードを使用する代わりにPNPトランジスタを使用した物があります。原理はツェナーダイオードを使用するのと同じ考えでベースをオープンにするという事です。回路図をかけないので文章で書きます。PNPのコレクタをミューティング・トランジスタのベースに抵抗を介して接続し、コントロール電圧はPNPのトランジスタのベース・エミッタ間に与えてコントロールしていました。その後はこの方式がSONYカセットデッキで使われていたみたいです。

岡村廸夫氏のCQ出版社の著書でNPNトランジスタを2組使用した回路図も見たことがあります。

YandHさん

なるほど、一時期の片電源の回路で活躍していたんですね。 昔の方が回路に工夫があったと思います。 さらに昔になるとポップノイズは未処理でしたね。

iPodも最初のころは、結構な音量のポップノイズが出てました。 外見デザインはとても重視するのに、そこは気にしないんだっと、US設計の割り切りのすごさを感じました。 (もしくは日本人が気にし過ぎなのか)

手元にあるウォークマンの回路図をみると、イコライザの切換にミュートTRが使われてました。 ただ、ツェナーではなくスライドスイッチによりベースがオープンになります。 ヘッドアンプ、MICアンプ、再生イコライザ、録音イコライザ、録再切換など片電源ディスクリートはとても面白いですね。 しかし、各段、毎回カップリングコンデンサでDCカットしながらミュートや切換を行なわなければならず、その後の±電源の効果があまりに甚大で淘汰されたんでしょうね、片電源回路。

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